HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 49302 Content-Type: text/html ETag: "b7eff-1657-5aed1480" Expires: Fri, 16 Sep 2011 01:22:09 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 16 Sep 2011 01:22:09 GMT Connection: close 原発本格賠償 円滑な被害救済に心を砕け : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


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原発本格賠償 円滑な被害救済に心を砕け(9月16日付・読売社説)

 福島第一原子力発電所の事故被害に対する、本格的な賠償手続きがようやく動き出した。

 東京電力は今週から、避難住民に賠償請求のための書類送付を始めた。請求に対する東電の審査結果に被害者が同意すれば、10月から順次、賠償金が支払われる。

 東電は被害者に賠償金を仮払いしているが、今回は政府の原子力損害賠償紛争審査会が決めた中間指針に基づく本格賠償だ。

 避難による精神的損害が1人当たり月10万〜12万円、県内移動の交通費が1回5000円など細かい規定がある。まず、事故から8月末までの間の損害が対象で、東電の試算では標準的な4人家族の賠償金は約450万円になる。

 東電は9月以降の損害は3か月ごとに請求を受け付ける。被害はまだ進行中だ。事故収束を急ぐとともに、救済を円滑に実施するよう求めたい。

 被災者自身が賠償対象となる被害を精査して、請求する負担は大きい。請求の解説書は160ページ近く、金額などを書き込む書類も大量だ。高齢者をはじめ、記入方法に戸惑う人は多いだろう。

 過去の給与明細や、ホテルの領収書などの添付も必要だ。ただ、領収書を紛失した場合でも、宿泊が確認できれば賠償金は支払われる。東電は請求者の事情をよく聞いて、柔軟に対応してほしい。

 東電は、10月までにコールセンターを300人体制に増やし、東日本の14か所の補償相談センターにも1700人を配置する。要望があれば仮設住宅などに出向いて説明会を開くという。丁寧で、きめ細かな説明を行うべきだ。

 賠償対象は個人だけで6万世帯にのぼる。今月中に事業者の営業損害や、風評被害についても賠償手続きが始まる見込みで、請求件数は全体で40万〜50万件に膨らみそうだ。東電は、機動的に担当人員を増強する必要がある。

 被害者が賠償額に納得できない場合は、紛争審査会の下に設けられた紛争解決センターに、和解の仲介を求めることができる。仲介には弁護士ら100人超の法曹関係者があたる。早期解決に力を尽くしてもらいたい。

 賠償の算定基準が決まらない項目もある。放射能に汚染された家財などの被害は、事故が収束して実態調査が進まないと定まらない。自主避難の費用や、地方自治体の被害も賠償基準は未定だ。

 東電と政府はしっかり連携し、迅速な被害救済に全力を挙げなければならない。

2011年9月16日01時14分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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