HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 16 Sep 2011 02:08:52 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:海外視察 どうしても必要なのか:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

海外視察 どうしても必要なのか

 愛知県議会の自民党議員団が十月に単独で海外視察に行くことを決めた。効果に疑問符がつき、全国六割の都道府県議会が視察をやめている。財政難で震災復興応援の今、どうしても必要だろうか。

 「莫大(ばくだい)な税金を県民に還元する覚悟がおありだろうか」。財政難などを理由に愛知県議会の他会派が不参加を決める中、自民党が単独で米国視察を決めたことへの本紙に届いた読者の声の一つだ。

 大方の人の気持ちだろう。今、どうしても行かねばならぬ理由が見当たらない。視察の成果を広く公開し、議会活動を通じ県政に生かしてきたのかという制度の根幹にかかわる問いでもある。今回不参加の議員も過去の視察を思い返し、誠実に考えるべきだろう。

 愛知県議会では、随行の議会事務局職員が議員のメモなどを基に報告書を作り、議会図書館に一冊置いていただけだ。多い年は五千万円近い税金を使い三十人近くが海外に行っても、視察成果を踏まえて本会議で質問をするのは一人か二人。あきれる状況だった。

 東京都議会では二〇〇八年、民主のブラジル視察と自民のニューヨーク視察の報告書の一部が学会誌や専門家の論文などの丸写しだったことが発覚した。山梨県議会の米国視察でも昨年、似たような報告書盗用が明るみに出た。

 議員の海外視察への批判が強いのは、費用対効果が薄いうえ、こうした不誠実な行為が続いたからだ。議員特権を悪用した物見遊山ではないかという疑念を、住民はぬぐい切れない。

 自民愛知県議団は十月三十日から八日間、再生エネルギー事情の視察で、米西海岸を訪問する。視察に行く十四人の議員の多くが、本紙の取材に「政策提言に結び付ける」「議会で質問する」と県民に約束した。報告をインターネットで公開することも決めた。

 震災復興途上で財政難という逆風下で、一会派が単独で強行する異例の海外視察だ。今からでもやめることはできる。どうしても行くのなら、成果を目に見える形で示すことが求められる。

 名古屋市の河村たかし市長は、行財政改革で財源を捻出し、減税を実現すると訴えているが、率いる減税日本の市議三人が一人百二十万円の税金を使って海外視察に加わる意向を示した。市長の説得で断念したというが、減税日本の原点を否定するような市議の行動だった。議員の海外視察の是非論は、他の自治体でも考えたい。

 

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