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最初にハマったスナック菓子がポテトチップスだった。大手が量産する前で、透明な袋に浮かぶ地場メーカーの名を覚えている。ポテチはやがて受験期を支え、ビールの友に転じたが、目方が気になりだして疎遠になった。揚げ物の快楽には、もれなく贅肉(ぜいにく)がついてくる▼ハンガリーで今月、ポテチ税なる奇策が導入された。塩分や糖分、カロリーが高い食品に課し、国民と財政、ともに健やかにする試みらしい。スナック菓子や清涼飲料水は大幅な値上げとなった▼肥満大国といえば、ポテチを生んだ米国だろう。安いが栄養バランスを欠いた食品が元凶で、貧困層の3割超が肥満ともいわれる。予防を掲げて、清涼飲料水への課税を模索する州もある▼『ポテチを異常に食べる人たち』(幕内〈まくうち〉秀夫著、WAVE出版)に、「中毒」になった女性が出てくる。おいしさよりも快感を求めて、「飲むように食べたくなる」そうだ。そして罪悪感が残る▼スナック菓子からコンビニのおにぎりまで、濃厚な味つけでクセにさせる売り方を、著者は味覚破壊と批判する。メーカーは「悪いのは食べ過ぎ」との立場だが、幕内さんに言わせれば「もともと食べ過ぎるように作ってある」▼私たちの本能は、塩分や糖分、油脂を欲し、うまいと感じる。これらを重装備した「うますぎる」食品の摂(と)りすぎが、子どもを肥満や糖尿病に追いやるとされる。一枚ずつ健康体で味わってこそのポテチ。妙な新税を招かぬよう、親も子も程々を心がけたい。