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9月15日付 編集手帳

 号「風天(ふうてん)」、渥美清さんには、秋の秀句がいくつもある。〈ゆうべの台風どこにいたちょうちょ〉〈秋の野犬ぽつんと日暮れて〉〈赤とんぼじっとしたまま明日(あした)どうする〉。どれも、傍らの小さな命に語りかけている◆映画『男はつらいよ』で渥美さんの“フーテンの寅”が、旅先の夕暮れ、道端に腰掛けている姿を思い浮かべた方もあろう◆渥美さんを(しの)んで創設された「寅さん俳句大賞」の作品募集が始まった。葛飾柴又寅さん記念館と角川学芸出版、読売・日本テレビ文化センターの主催によるもので今年が3回目となる◆美しい海山と、ひとの心の結びつきと――寅さんのいた世界を、誰もがあらためて夢想した震災後である。どういう作品が寄せられるか、興味は尽きない◆渥美さんが68歳で惜しまれつつ世を去って、15年になる。『男はつらいよ』のシリーズ最終作『寅次郎紅の花』は阪神淡路大震災の被災地・神戸が舞台だった。幕切れで、寅さんが被災地の人々に語った最後のセリフを思い出す。「みんな苦労したんだなあ。ほんとうにご苦労さまでした」。今もまた、その温かい声が聞こえてくる。

2011年9月15日01時13分  読売新聞)

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