HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 14 Sep 2011 23:09:34 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:棋士の羽生善治さんは、気持ちの切り替えが早い人だ。対局の最…:社説・コラム(TOKYO Web)
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 棋士の羽生善治さんは、気持ちの切り替えが早い人だ。対局の最終盤でミスをした時の答えは二つある。悔やんでも仕方ないから、それまでのことをすべてゼロにして、次の一手から新たに始まる。そう頭を切り替える▼もう一つは忘れること。「私は、どんなにひどいミスをしても、すぐ忘れるようにしてきた。おかげで最近は、努力しなくてもすぐ忘れられる」(『大局観』)▼気分転換の素早さに加え、リスクを恐れない姿勢が羽生さんの強さである。今、勝つ確率が高くてもすぐに時代遅れの戦法になるのが将棋の世界。常に自身が進化しないと勝ち続けられない▼羽生さんは新しい手を見つけたら、タイトル戦を含む実際の対局で試してみる。本番で試すリスクを冒さないと、プロ棋士としての成長はないという。「リスクを取らないことが最大のリスクである」との言葉は、天賦の才のない者にも大きな示唆を与えてくれる▼王位を奪還した羽生さんは、タイトル通算獲得数で故大山康晴十五世名人に並ぶ通算八十期を達成した。まだ四十歳。どこまで記録を伸ばすのか楽しみだ▼かつて、才能を「一瞬のきらめき」と考えていた羽生さんは「今は、十年とか二十年、三十年を同じ姿勢で、同じ情熱を傾けられること」と思うようになったという(『決断力』)。難しいけれど、それなら挑戦したい気がしてきた。

 

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