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天声人語

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2011年9月15日(木)付

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 バイキング料理の軽いストレスは、自分の浅ましさを思い知る点にある。元を取るぞという貧乏性が食欲にかぶさり、せっかくの美味は混然たる「ごちそうの山」と化す。この手で好きなだけ盛れる怖さ、お手盛りの語源である▼東京電力が、来年度から3年間をめどに、約15%の料金値上げを欲しているという。社員の給与カットは5%だからお手盛りくさい。半減とはいえボーナスがあるのも驚くが、値上げ期間が終わったら元に戻したいらしい▼安定供給の名の下、会社が赤字にならぬよう、電気料金は事前に見積もった費用に利潤を乗せて決まる。勢い、見積もりが多めになるのは「ごちそうの山」の常である。地域独占なので、コスト減らしの競争意識は乏しい▼倒産しかねない大公害なのに、国策ゆえ、想定外だからと救われる公益事業。被災した町工場や商店は納得いくまい。今の東電には、食べ放題ではなく質素な昼定食が似合う。身を削る努力を求めたい▼なお、月50万円減らした国会議員の歳費が、10月から元の129万円に戻りそうだ。こちらのお手盛りは血税の米びつからとなる。臨時国会を4日で閉じての満額復帰、これで東電に大なたを振るえようか▼「原発ゼロ」に言及した前経産相が辞め、業界がほっとしたのもつかの間、後任の枝野幸男氏は電気料金の仕組みに切り込む考えと聞く。利用者の怒りの声に、どうか大きな耳を傾けてほしい。放射能、停電、節電ときて大幅値上げでは、公益の名が廃る。