HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 49080 Content-Type: text/html ETag: "add54-168c-de738700" Expires: Tue, 13 Sep 2011 23:21:42 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 13 Sep 2011 23:21:42 GMT Connection: close 管制官情報漏洩 組織管理の再点検も必要だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


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管制官情報漏洩 組織管理の再点検も必要だ(9月14日付・読売社説)

 信じがたい情報漏洩(ろうえい)事件が明るみに出た。

 羽田空港の主任航空管制官が、個人のブログに米大統領専用機「エアフォースワン」などの飛行計画の画像を掲載し、公開していた。

 テロ対策に神経をとがらせる米国では、大統領専用機の飛行計画は秘匿すべき機密情報だ。専用機の高度や速度などがテロリストに知られれば、今後の運航に重大な影響が及ぶ恐れもある。

 米側が日本政府に抗議し、再発防止の徹底を求めたというが、当然だろう。外交や安全保障面で、日米の信頼関係を損なう可能性もある深刻な事態だ。

 政府は情報漏洩の経緯や、管制官の行動の背景事情などを徹底的に調査して、米側にきちんと説明する必要がある。

 この管制官は、福島第一原子力発電所のデータを収集していた米軍無人偵察機「グローバルホーク」の情報もブログに載せていた。本来は撮影禁止の管制室内の模様などを撮った写真もあった。

 管制官は「10年前にブログを開設した。知人に見てほしかった」と話しているという。自らの職責の重さや、行動がもたらす影響の大きさへの認識が欠けている。

 厳格な行政処分が必要だ。国家公務員法(守秘義務)違反での刑事告発はやむを得ないだろう。

 疑問なのは、この管制官が30年も羽田空港勤務を続けていたことだ。通常は、数年ごとに転勤するが、管制官は「本人の強い希望」で羽田にとどまっていた。

 このため、管制室内での撮影などを目撃しても、誰もとがめられなかったという指摘もある。

 国土交通省幹部は「労働組合の組織率が高く、プロ意識も高い。無理が通ってしまうことがある」と語る。人事制度や組織管理に問題はなかったか、検証が要る。

 近年、管制官のミスや不祥事が相次いでいる。

 職場体験中の中学生に旅客機への管制指示を行わせたり、簡易投稿サイト「ツイッター」で見学ツアーを募集し、立ち入り制限区域を見学させたりしていた。

 国交省は先月、不祥事防止に向けた有識者会議を設置し、対策を協議し始めたばかりだった。管制官の倫理教育は喫緊の課題だ。

 日本では、4年前にも海上自衛隊でイージス艦の機密情報が流出する事件があった。重要情報の管理のずさんさは再三、米国から指摘されてきた。

 信頼の回復へ、政府は情報管理体制を総点検する必要がある。

2011年9月14日01時09分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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