HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 13 Sep 2011 02:05:59 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:特捜部長初公判 隠蔽体質を明らかに:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

特捜部長初公判 隠蔽体質を明らかに

 大阪地検の証拠改ざん事件で、犯人隠避罪に問われた元特捜部長らは無罪を主張した。古巣の検察と全面対決の構図だ。裁判では前代未聞の事件を生んだ検察の構造的な欠陥も明らかにしてほしい。

 郵便不正事件の証拠物であったフロッピーディスクのデータを改ざんした元検事は犯罪事実を認め、実刑が確定し、服役中である。改ざんの事実を隠したとして、元特捜部長と元副部長が起訴され、初公判を迎えた。

 検察側は冒頭陳述で、元副部長が元検事に改ざんの事実を確かめ、「本当です」と打ち明けられたことや、元特捜部長がデータ改ざんの事実をもみ消そうと考えて、かん口令を敷いたことなどを述べた。改ざんは意図的なものではなく、「ミステーク」で済まそうとしたとも指摘した。部下の検事に「もみ消しじゃないぞ、あくまで危機管理だ」とも語ったという。

 それに対し、元特捜部長は「かくまったという犯意はなかった」、元副部長は「証拠を改ざんしたという認識はなかった」と否認し、無罪を主張した。上司の二人が故意だと知っていたかどうかが、最大の争点となるだろう。今後は受刑中の元検事や、改ざんを知った現職検事らが証人として、法廷に立つ異例の裁判になる。

 仮に元特捜部長らの言い分が正しいとしても、厚生労働省の元局長を犯罪者にでっち上げた冤罪(えんざい)事件が消えるわけではない。空中楼閣の事件を作り上げた重大さをどう受け止めているのだろうか。

 「ミステーク」と思ったとしても、証拠物のデータが改変されたと知った時点で、徹底的に捜査すべきだった。むしろ、上層部に「問題ない」と報告した元特捜部長の姿勢には、不正を矮小(わいしょう)化したいという意図がなかったのか。隠蔽(いんぺい)体質の表れではないか。

 そもそも厚労省元局長をめぐる事件の構図は、文書の日付という客観的な証拠で崩れていた。それにもかかわらず公判を続行したことに大きな問題があるのだ。

 証拠上の矛盾が明らかであるならば、公訴を取り消すことも、論告の段階で無罪を求めることもできたはずだ。結果的に裁判所が「無罪」を言い渡すまで、“撤退”しなかったことは大失点の一つだ。

 改ざん事件は特異な元検事一人の犯罪というより、組織の病理が生んだものだ。検察は古い体質から脱皮しないと、自ら着手する「検察改革」も実を結ばない。

 

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