HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 47713 Content-Type: text/html ETag: "f1e0c-1281-9a3a1180" Expires: Sat, 10 Sep 2011 01:21:46 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 10 Sep 2011 01:21:46 GMT Connection: close 9月10日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


現在位置は
です

本文です

9月10日付 編集手帳

 言葉尻をとらえてイチャモンをつける例を、評論家の稲垣吉彦さんが『ことばの輪』(文芸春秋)で紹介している。「木を使ってないのに枕木はおかしい」「ビニールなのに()り革は変だ」等々。ならば、「枕コン」や「吊りビニール」とでも言うのか――と稲垣さんは嘆息している。言葉尻をとらえるのはヤボの骨頂だろう◆原発事故の周辺自治体を視察した鉢呂吉雄経済産業相が「人っ子一人いない、まさに“死の街”…」と感想を語ったという◆政府の判断で原発周辺20キロ圏内は原則立ち入り禁止の「警戒区域」に指定されている。違反すれば10万円以下の罰金、または拘留という罰則がある。人っ子一人いなくて当たり前である◆予習が足りなかったのかどうか。避難住民の気持ちを逆なでする「死の街」という表現もさることながら、しろうと然とした感想にはがっかりした。ヤボを承知で言葉尻をとらえてみたが、野田内閣の“不適材不適所”ぶりを図らずも露呈した意味では、尻ではなく、言葉の心臓部にかかわる問題かも知れない◆それにしても、きのうは()の話、きょうは尻の話、あしたが怖い。

2011年9月10日01時23分  読売新聞)

 ピックアップ

トップ
現在位置は
です