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「あそびましょ」という、わずか20字の詩がある。〈なまえわすれたら/「あそびましょ」で/いいでしょ〉。半世紀前の6歳男児の作だ。昔も今も、子どものつき合いに体裁はいらない▼東北の子どもらに、海外の同世代から型にとらわれない激励が届いている。ユネスコが募った「KIZUNA(絆)メッセージ」。絵あり字あり、50以上の国から計3万通を超えた。仙台ユネスコ協会で拝見した▼「すべてをなくしても未来は残る」(ブータン)、「太陽がまた、幸せを連れてくる」(フィジー)。小さな国が目立つ。「とてもしんぱいしています」とひらがなで頑張ったのは豪州の女の子、戦火のアフガニスタンからは津波の図が来た▼3万通りの「あそびましょ」は、津波や原発事故の被災校に配られる。翻訳を手伝う東北大4年、高橋祐樹さんは「大きくなった時、自分は一人じゃなかった、外国も支えてくれたと思い返してほしい」。草の根交流の芽にもなろう▼被災地の光明は幼い笑顔である。この夏、石巻市立渡波(わたのは)小の児童による工作展が東京であった。津波が校庭に運んだ台所用品やおもちゃなど、「町のカケラたち」が愉快な姿に生まれ変わっていた。遊び心に救われる▼フランス発のかわいいカードに、ただ一文「わたしはスシがすき」というのがあった。好意に定型はない。被災地の明日を担うあなたも、負けない無邪気と明るさで、自分流に夢をつないでもらいたい。元気が戻れば、たっぷりの未来が待つ。