HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 05 Sep 2011 20:05:45 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:日債銀事件無罪 破綻の責任はどこに:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

日債銀事件無罪 破綻の責任はどこに

 旧日本債券信用銀行の粉飾決算事件で、当時の経営陣に逆転無罪の判決が出た。刑事責任は免れたが、破綻の責任はどこにあるのか。巨額な公的資金を負担した国民には、釈然としない思いが募る。

 問題となったのは一九九八年の三月期決算だ。回収不能な不良債権が約二千二百億円あったのに、約六百億円に圧縮した虚偽の有価証券報告書を提出したとして、旧証券取引法違反に問われた。

 当時は金融行政の大転換期でもあった。旧大蔵省が金融機関を一行も破綻させないという「護送船団方式」から、客観的な指標に基づく透明性の高い金融行政へとかじを切った時期だったのだ。

 だから、資産査定に関する会計処理の基準も厳格化するよう、その前年に改定されていた。

 この「新基準」が唯一の“物差し”だったのか、「旧基準」の査定でも許されるのかが、最大の争点だった。旧基準では経営難に陥った融資先への支援に合理性があれば損失処理は不要としていた。

 一、二審は「有罪」。最高裁は「当時は過渡的状況で旧基準で会計処理したことも許容できる」として、二審判決を破棄し、審理を高裁に差し戻していた。

 今回の判決は、融資先の再建が確実でなくても、多少でも貸出金の回収ができる見通しがあれば支援に合理性があると認め、無罪に導いたといえる。

 旧日本長期信用銀行の粉飾決算事件でも元頭取らの無罪が既に確定しており、東京地検による「国策捜査」はまたも黒星を重ねた。「結論ありき」の捜査でなかったか、再点検が求められよう。

 納得がいかない点もある。日債銀はバブル期にノンバンクを通じて、不動産融資にのめりこみ、ずさんな融資を拡大したのが致命傷になった。歴代経営者のかじ取りそのものが問題だった。回収困難な債権を受け皿となる会社に移し替える「飛ばし」工作をしたことも判明している。

 会計処理が違法でなかったとしても、情報開示の点であまりに実態とかけ離れているのは、不良債権隠しと同然だ。旧経営陣の道義的責任は残る。旧大蔵省も金融検査で、当時の経営の内実を詳細に把握していながら、黙認してきた責任は大きい。

 日債銀には約四兆八千億円もの公的資金が投入された。破綻のツケは結局は国民に回ったにもかかわらず、誰も責任をとらずに幕引きでは苦々しい。

 

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