HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 19835 Content-Type: text/html ETag: "16939c-4810-e0f62000" Cache-Control: max-age=4 Expires: Mon, 05 Sep 2011 00:21:42 GMT Date: Mon, 05 Sep 2011 00:21:38 GMT Connection: close asahi.com(朝日新聞社):天声人語
現在位置:
  1. asahi.com
  2. 天声人語

天声人語

Astandなら過去の朝日新聞天声人語が最大3か月分ご覧になれます。(詳しくはこちら)

2011年9月5日(月)付

印刷

 日本を元気づけた四字のひらがなといえば、「はやぶさ」と「なでしこ」である。加えて、世論は「どじょう」にも淡い期待を寄せているとみえ、「野田どじょう内閣」の泳ぎ出しは結構な人気となった▼内閣支持率は、本紙の調査で53%、他紙では60%台も多い。二代続きの竜頭蛇尾に愛想が尽きたかと思いきや、まだ過半の国民が辛抱強く望みをつないでいる。民主党は、いわば民意の残り火に報いるしかない。仏の顔も三度である▼発足時の支持率は鳩山内閣が71%、菅内閣が60%だから、さすがに世論は甘くないものの、民主党の支持率は大きく回復した。「はなから金魚の輝きは求めない。泥臭く粉骨砕身せよ」とのメッセージが読める▼水から出てもなかなか死なないことから、どじょう料理は精がつくとされる。ただ『日本食材百科事典』(講談社)によると旬は夏で、泥鰌(どじょう)鍋も夏の季語である。寒くなると冬眠のため身がやせ、味が落ちるという。ひと冬がやっとこさの政権ならば、日本の再建を託すに値しない▼とはいえ、自民党への懐古が募る気配もない。政権に戻りたい一心であら探しに終始するようでは、民意は離れるだけだろう。どじょうの上を行く骨っぽさで政策を磨き、対案を説き、明日に備えることだ▼はやぶさ、なでしこに相通じるのは、末広がりの熱狂と、それに応える劇的な成果である。わが政治に今さら世界初や世界一は望まない。まずは、政権交代の四字に塗った泥を総がかりで落とすべし。

PR情報