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9月3日付 編集手帳

 作家の高見順は、ある座談会で語った。「戦後の辞書は【あい】(愛)に始まって【わんりょく】(腕力)に終わる」と。蜜月の関係がしばしば悲惨な形で終わる人の世を、辞書の収録語にたとえている◆ほんとうにそうかしらと思い、「日本国語大辞典」(小学館)をひらいてみると、【わんりょく】ではなく【わんわんだこ】(わんわん凧)で終わっていた。超大型の凧をいう、とある◆力ずくの抗争と、天高く舞う凧ではずいぶん違うが、怨念を超えた“同志愛”の向かう先はさて、どちらだろう。過去のいきさつがある小沢一郎氏の側近も入閣させて、野田新内閣がきのう発足した◆首相と小沢氏の間には税制をめぐる見解に溝があるといわれる。ノーサイドは結構なことだが、融和を大事にするあまり、首相が政策で妥協することがあってはなるまい。国政のためのノーサイドであって、ノーサイドのための国政ではないことを忘れずにいてほしいものである◆現代川柳から一句を。〈人の世や嗚呼(ああ)にはじまる広辞苑〉(橘高薫風(きったかくんぷう))。政権交代後の首相に、3代つづきで失望の「嗚呼」を口にしたくない。

2011年9月3日01時14分  読売新聞)

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