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天声人語

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2011年9月3日(土)付

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 珍しくというか、海の向こうでオバマ大統領が弱音をもらしていた。先月、50歳の誕生日を前に、経済の立て直しについて「険しいとは思っていたが、これほど急な坂だとは思っていなかった」。米国を率いて2年半、いまや当初の熱狂はない▼この間に日本では3人の首相が去った。英誌エコノミストが先ごろ、オバマ氏らに和服を着せた表紙で目を引き、「日本みたいになるぞ」と皮肉っていた。反面教師にされる低迷を返上できようか。野田新政権がきのう船出した▼たらい回しの民主党3代目ながら、批判の声は小さい。だが、なにしろ国難である。不慣れや不手際を大目に見る余裕はこの国にはない。生まれたてのどじょっ子は、いきなり厳しい水にもまれよう▼泥臭さを売る作戦は功を奏しているようだ。世の中、長所で嫌われる人もいれば、短所で好かれる人もいる。トップリーダーには弱点ともいえる「地味さ」を裏返して、プラスの資質に見せる才はなかなかだ▼とはいえ、政権のありようが、どうにも自民党に似てきた感がある。鳩山さんは腰砕けだったが普天間問題を取り上げ、菅さんは脱原発依存を唱えた。政権運営も含めて民主党らしさはあった。その「らしさ」が薄れているように思われる▼エコノミスト誌がかつて、日本人の「失望する能力」の欠如について触れていた。問題山積の自民党政権が続く不思議への皮肉だった。その後失望力は養われて政権は交代する。希望への行程表を早く示して欲しい。