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9月2日付 編集手帳

 本や資料を雑然と積み上げた職場の机にも、世相は表れるらしい。9月の声にふと気づき、数えてみれば、団扇(うちわ)が6本も置いてある◆どれも読者からの頂き物で、こういう夏は経験がない。〈昔の夏も暑かった/我慢をした/犬も/猫も/にんげんも〉と自作の詩句を揮毫(きごう)し、“節電の夏”を励ましてくださった方もある。日替わりでお世話になった◆江戸川柳には団扇の句がいくつかあり、〈寝て()ても団扇のうごく親心〉はなかでも佳句として知られている。色っぽいところでは〈団扇では憎らしい程たゝかれず〉。「まあ、憎らしい」と(にら)む女性の艶めいた目もとが浮かんでくる◆この夏は川柳そのままに、子供の添い寝をしてうとうとしつつ、風を送ったお母さんがいただろう。たたかれた羨ましい男性もどこかにいたかも知れない◆…と、いくらかの余情を残して季節の後ろ姿を見送りたいところだが、多事多難のご時世はそれを許してくれない。野田新内閣がきょうにも発足する。〈大違ひ(ひだ)り団扇と左前〉。暮らし向きも、政権の命運も、どちらの「左」になるかは、ここしばらくが勝負どころになる。

2011年9月2日01時27分  読売新聞)

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