HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 48859 Content-Type: text/html ETag: "a35f2-1692-63984440" Expires: Tue, 30 Aug 2011 22:21:40 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 30 Aug 2011 22:21:40 GMT Connection: close 日債銀逆転無罪 旧経営陣と行政の責任は残る : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


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日債銀逆転無罪 旧経営陣と行政の責任は残る(8月31日付・読売社説)

 長期裁判の末に刑事責任は否定された。だが、不良債権処理を先送りし続けた旧経営陣と、それを黙認した旧大蔵省の道義的責任は免れない。

 破綻した旧日本債券信用銀行の粉飾決算事件の差し戻し控訴審判決で、東京高裁が、旧証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)に問われた元会長ら3人に逆転無罪を言い渡した。

 問題となったのは、破綻直前の1998年3月期決算だ。当時は日本が未曽有の金融危機に見舞われた時期で、不良債権を厳格に処理する新たな会計基準が導入されたばかりだった。

 差し戻し前の1、2審判決は、「新基準を逸脱して不良債権処理を先送りし、損失額を約1592億円も少なく査定した」と認定し、3人を有罪とした。

 しかし、最高裁は「会計基準が確立していない過渡期だった」として、審理を差し戻した。東京高裁は「旧基準に照らせば違法とは言えない」と結論づけた。

 同時期の決算が粉飾に問われた旧日本長期信用銀行の事件では元頭取らの無罪が確定している。それに続く旧日債銀の無罪判決は検察側には大きな痛手だろう。

 旧日債銀の破綻を巡っては約5兆円の公的資金が投入され、東京地検特捜部などが「国策捜査」の形で責任追及の役割を担った。

 ただ、バブル期に過剰融資を実行した経営者は時効の壁から立件できず、破綻直前の経営者だけを摘発せざるを得なかった。

 しかも、「銀行はつぶさない」という護送船団行政の下で、不良債権処理の先送りを事実上容認してきた旧大蔵省や、こうした決算にお墨付きを与え続けた監査法人の責任は不問に付された。

 特捜部の事件の組み立て方そのものに無理があった、と言われても仕方あるまい。

 違法性は問えずとも、旧日債銀の決算が情報開示の点で、実態と乖離(かいり)した不適切なものだったことは忘れてはならない。

 旧日債銀は不良資産を受け皿会社に移すことで決算を良好に見せかけていた。こうした先送り工作が最終的に損失を拡大させ、破綻の原因となったことを旧経営陣は重く受け止める必要がある。

 経営状況を検査などで把握しながら、抜本的な手を打たなかった旧大蔵省の責任も重い。

 金融庁が独立し、現在、検査体制は当時より強化されている。金融機関の情報開示を徹底し、金融システムの安定を図ることが、事件の教訓を生かす道である。

2011年8月31日01時20分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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