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8月31日付 編集手帳

 風雅な茶会の席に緊張が走ったという。京都仏教界の重鎮、立花大亀(たいき)老師が松下幸之助氏を面詰した。「君のおかげで、こんなに心がなく物ばかりの嫌な日本になってしまった。君の責任で直してもらわねばならん…」◆1975年(昭和50年)秋のことであると、同席していた博報堂社長(当時)の近藤道生さんが『茶の湯がたり、人がたり』(淡交社刊)に書いている。松下氏は温容を崩さぬまま、じっと考え込む様子だったという◆国家経営の人材を育成するべく「松下政経塾」を創設するのは、それから4年後のことである◆第1期生の野田佳彦氏(54)が新しい首相に指名された。大亀老師が嘆いた「心の不在」はそのまま、政権交代後の鳩山、菅両内閣が国民の信頼を失ってきた原因でもある。野田新首相が双肩に担う責任は限りなく重い◆松下語録に、〈客の好むものを売るな。客のためになるものを売れ〉という格言がある。子や孫の世代に借金漬けの苦しみを押しつけることのないよう、増税など国民の好まない政策も避けては通れない。“経営の神様”が野田氏のために残したような言葉だろう。

2011年8月31日01時20分  読売新聞)

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