HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 19838 Content-Type: text/html ETag: "e0a8e4-4813-aab3a80" Cache-Control: max-age=2 Expires: Sun, 28 Aug 2011 03:21:08 GMT Date: Sun, 28 Aug 2011 03:21:06 GMT Connection: close asahi.com(朝日新聞社):天声人語
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天声人語

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2011年8月28日(日)付

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 小沢一郎氏は携帯電話を持たない。政界で「先生の携帯」と尊ばれるものは随行秘書が身につける。本人はめったに出ず、必要なら「おい、ピコピコ」と命じるらしい。秘書が長かった石川知裕氏の著書『悪党―小沢一郎に仕えて』で知った▼この週末、ピコピコは鳴り続けだろう。民主党代表選は5氏が争い、明日には「次の首相」が決まる。小沢氏が推す海江田経産相、世論受けする前原前外相を軸に、またぞろ親小沢と脱小沢の数合わせだ▼かれこれ20年、小沢氏は政界座標の真ん中にいる。政治家は氏からの距離と方位で論じられ、政変となればここから始まった。「原点O(オー)」は今般、処分中ながら師匠ばりの闇将軍を任じている▼その面前で、「小沢先生のお力を借りなければ日本は救えない。力を存分にふるって頂けますよう……」とべったり持ち上げた海江田氏である。念願の地位に就いても、なにかにつけてピコピコにお伺いを立てそうな気配がする▼代表選の構図を、小沢氏は「民主党の原点回帰か、菅政権の継続か」と語った。自民党に言わせれば「小沢傀儡(かいらい)か、菅亜流か」(町村信孝氏)となる。小沢氏の復権という「原点回帰」を争うのでは、危機にある政治の出直しに値しない▼氏の好きな言葉に、「人事を尽くして天命に遊ぶ」がある。通常の「天命を待つ」と違って、己に期待しない趣がいいそうだ。永田町で山あり谷ありを楽しむのはご随意だが、今の日本、与党の遺恨試合に付き合う時間はそうない。

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