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2011年8月26日(金)付

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代表選に問う―原発政策の具体論を

民主党代表選で国民が最も注目する政策テーマのひとつが、原発問題をはじめとするエネルギー政策だろう。原子力への依存は徐々に下げるが、当面は安全性を確保しながら既存の原発を[記事全文]

ロ朝首脳会談―日本も変化に遅れるな

北朝鮮の金正日総書記が、ロシアのメドベージェフ大統領と初めて会談した。ロシア政府によると、総書記は核問題の6者協議に条件をつけずに復帰し、その際に大量破壊兵器の実験を一[記事全文]

代表選に問う―原発政策の具体論を

 民主党代表選で国民が最も注目する政策テーマのひとつが、原発問題をはじめとするエネルギー政策だろう。

 原子力への依存は徐々に下げるが、当面は安全性を確保しながら既存の原発を動かし、代替エネルギーの育成に努める――立候補予定者の立ち位置はおおむねそんなところだ。

 無難だが、次のリーダーを選ぶための材料としては物足りない。憲法改正といった長期的・理念的なテーマと異なり、エネルギー問題はまさに足元で進行中の現実的な課題だ。党代表に選ばれ首相になった瞬間から、次々に判断を迫られる。

 明確なビジョンを持たず、場当たり的に対応していては人々の安全や経済活動、国際社会の信認を大きく損ねかねない。

 原発・エネルギー政策の将来目標と手順を事前にしっかりと描いておくことは、首相に就くための最低条件だ。短い選挙戦だからこそ、主要な論点についての具体的な見解を、きちんと示してもらいたい。

 菅首相は、打ち出し方や手法に問題はあったものの、(1)原発は新増設を認めず、将来はゼロにする(2)定期検査後の再稼働には厳格なテストを課す(3)独占を維持してきた電力体制にも切り込む、という方向性は明確にした。自然エネルギーの普及を前倒しで実施することも国際社会に明言した。

 各候補者にはまず、この路線を踏襲するのか否かを明らかにしてほしい。最終的に原発は全廃するのか、一定の原子炉は残すのか。依存率を下げるにあたって、どんな基準で原発を仕分けし、どのくらいの期間をかけるのか。

 原発を維持する考えなら、根拠も含めて堂々と自分の考えを述べて、説得したらいい。

 当面、既存の原発を動かすためのルールや安全性をどう担保するか。今冬、来夏に予想される電力不足にどう対応するかといった喫緊の課題もある。

 自然エネルギーを普及させるには電力体制の見直しは避けて通れない。発電と送電の分離や電力取引の自由化という改革にまで切り込むかどうか。そこには新しい産業や雇用という成長の種があると私たちは考える。

 与野党を問わず電力改革派を結集していく覚悟と粘り腰がなければ、政官業労に学界をも巻き込んだ複合体が堅持する権益構造を崩すのはむずかしい。

 だが克服できれば、政党間のねじれを超えて、政治主導で新しい経済社会を築く土台ができる。新しいリーダーには、そういうパワーが必要だ。

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ロ朝首脳会談―日本も変化に遅れるな

 北朝鮮の金正日総書記が、ロシアのメドベージェフ大統領と初めて会談した。

 ロシア政府によると、総書記は核問題の6者協議に条件をつけずに復帰し、その際に大量破壊兵器の実験を一時停止する用意があると語ったという。

 当たり前の発言でしかない。もともと国際ルールを無視して核開発をしているのだ。一方的に抜けていった6者協議に戻ることに、条件などつけられるはずもなかろう。

 それに何より、目下の最重要課題であるウラン濃縮問題について言及していないのだから、まったく評価に値しない。

 一方で両首脳は、ロシア極東から北朝鮮を経て韓国につなぐ天然ガスのパイプラインを敷く事業に合意し、具体的に詰めていくことにした。

 天然ガスの売り先を、いまの欧州中心からアジアにも広げたいロシアと、通過料という外貨収入を得られる北朝鮮の利害が一致したということだろう。

 だが、北朝鮮が本気で進めようというなら、まずは韓国との冷え冷えとした関係を修復しなければなるまい。南北間で協議し、合意ができて初めて、ガス管事業が動き出す。

 それができるかどうか。先の訪中時より太ったように見えた総書記の対応に注目する。

 一方で、ロシアの積極的な動きからも目が離せない。

 北朝鮮問題では「中国頼み」が目立ち、このところロシアは埋没気味といえた。そんな現状を打開する意図が、このロ朝首脳会談には込められていた。

 さらに来年、極東のウラジオストクで開くアジア太平洋経済協力会議の首脳会合をにらみ、成長センターのアジアに本格的に参入していくという狙いもあったろう。

 ロシアは資源、エネルギー、電力などの面で、東アジアでも影響力を強めてきている。その潜在力を生かして、北朝鮮をめぐる状況を好転させる役割を担えるはずだ。

 日本の政治が内向きになり、外交が停滞している間も、各国はしたたかに動いている。

 東アジアでも、中朝は友好を誇示し、米朝間の協議も始まった。そして、今回の金総書記の9年ぶりの訪ロである。

 北朝鮮問題も、やっと協議再開を探るきっかけができつつある。こうした環境の変化に、日本も機敏に対応し、乗り遅れないようにしよう。

 北朝鮮政策や資源戦略に、日本はいかに主体的にかかわっていくのか。ポスト菅政権は速やかに答えを出さねばならない。

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