HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 48790 Content-Type: text/html ETag: "15ce64-1673-7b998280" Expires: Mon, 22 Aug 2011 22:21:58 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Mon, 22 Aug 2011 22:21:58 GMT Connection: close 自衛隊構造改革 「選択と集中」の徹底を急げ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


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自衛隊構造改革 「選択と集中」の徹底を急げ(8月23日付・読売社説)

 限られた防衛費の中で様々な事態への自衛隊の対処能力を高めるには、「選択と集中」を徹底することが欠かせない。

 防衛省が「防衛力の実効性向上のための構造改革」に関する報告書を公表した。昨年末に策定した新たな防衛大綱を踏まえ、部隊編成や人事制度、装備調達などの改革案と工程表をまとめたものだ。

 報告書は、新大綱で打ち出した「動的防衛力」構想を具体化するため、自衛隊独自の輸送力の強化に加え、民間や在日米軍の輸送力を活用する方針を示した。

 東日本大震災で明らかになったように、迅速な初動対応は事態対処の成否を左右する。平時から民間のフェリー・航空会社や米軍と連携し、机上演習や共同訓練を重ねておくことが大切だ。

 今後、重要となるのは、南西諸島周辺での警戒監視活動だ。

 防衛省は、与那国島などへの陸上自衛隊部隊の配置や、沖縄本島の陸海空部隊の増強のほか、米空母艦載機の離着陸訓練候補地である鹿児島・馬毛島に自衛隊の輸送中継基地を作ることを検討している。着実な実施が求められる。

 人事制度を見直し、防衛費全体の約4割を占める人件・糧食費を節減することも不可欠だ。

 自衛隊では最近、隊員の高年齢化が進んでいる。幹部が増加する一方で、低階級の若い隊員が減少し、階級構成がいびつになった。これが人件費の増加と事態対処能力の低下の要因でもある。

 早期退職制度や、後方任務専門の自衛官制度の導入、再就職援護体制の強化などにより、年齢・階級構成を改善する必要がある。

 装備調達の改革も急務だ。

 戦車、戦闘機などの高性能・高価格化が進み、毎年の装備調達数が減っている。装備の延命のため整備維持費が増加し、装備調達数を一層減らす。そんな悪循環に歯止めをかける必要がある。

 武器輸出3原則の緩和や、装備の一括購入、防衛企業のコスト意識を高める調達方式の導入などの合理化を進めねばならない。

 日本の防衛費は1997年度以降、漸減傾向が続く。今年度は4兆7752億円にとどまった。中国など周辺国が防衛費を大幅に増やし、日本の安全保障環境が厳しくなる中、日本だけが防衛費を減らしているのは異常な状況だ。

 これ以上の防衛費の削減に歯止めをかける必要がある。ただ、政府全体の財政事情を考えれば、大きな伸びは望めない。自衛隊の構造改革は待ったなしの課題だ。

2011年8月23日01時21分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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