HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Tue, 23 Aug 2011 09:41:29 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:リビア情勢 民主化定着へ支援急げ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

リビア情勢 民主化定着へ支援急げ

 リビア情勢が急展開し、カダフィ体制が崩壊する可能性が高まった。「アラブの春」の帰趨(きすう)はまだ定まらないが、中東民主化の潮流を定着させるためにも、国際社会の迅速な支援が欠かせない。

 カダフィ大佐が一般市民に銃を向けて約半年。北大西洋条約機構(NATO)の反体制派支援の空爆が始まって約五カ月。反体制派武力勢力がカダフィ体制の象徴だった首都トリポリの「緑の広場」を占拠したことで、四十二年に及んだ独裁体制崩壊は決定的になった。

 欧米主要国は「国民評議会」を正統政権としてすでに承認している。国民評議会を通し、民主制、人権尊重に根差す新体制への移行が始まることを期待したい。

 一方で、カダフィ陣営の抵抗は依然続いており、情勢はなお流動的だ。内戦で犠牲を余儀なくされるのは常に弱い立場の一般庶民だ。空爆を容認した国連決議は「市民の生命保護」が目的であったことをあらためて確認したい。

 チュニジアで始まった中東民主化に対して、欧米の支援体制は後手に回っている。オバマ政権は五月の演説で包括的な中東支援策を発表したが、翌月のアフガニスタン撤退演説では、「今は自らの国家建設に焦点をあてる時」と表明せざるをえなかった。財政危機下、内政重視を迫られる来年の大統領選挙が背景にある。

 米国から空爆指揮権の移譲を受けた欧州諸国が抱える事情も深刻だ。金融、財政危機の深刻さは米国以上。冷戦下、中東の民主化や人権問題には目を閉ざし、独裁政権との安定した外交関係を優先させてきた事情もある。

 中東民主化の動きは東西冷戦の崩壊にも匹敵する歴史的な出来事といえる。しかし、旧東欧諸国には西欧という地域的回帰先があったのに対し、新たな地域的枠組みがないのが中東民主化の大きな特徴だ。それだけに、一つ間違えば権力の空白がイスラム過激派の浸透につながる懸念が常にある。

 国民評議会の実態、統治能力は未知数だが、欧米各国との接触で民主的な政治体制への移行を確約しているとされる。まずはカダフィ大佐らを「人道に対する罪」で国際手配した国際刑事裁判所との協力関係など、国際社会との連携を見守りたい。

 問題の核心にある中東和平問題の本格的な交渉開始や、イスラムとの共存に対する将来展望など、欧米諸国は自ら抱える課題もあらためて肝に銘じるべきだ。

 

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