HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 49020 Content-Type: text/html ETag: "ad7d6-1649-3e6d4a40" Expires: Sun, 21 Aug 2011 03:21:37 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 21 Aug 2011 03:21:37 GMT Connection: close 被災地の医療 医師不足を克服する再生策を : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


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被災地の医療 医師不足を克服する再生策を(8月21日付・読売社説)

 被災地の医療被害は甚大だ。日本全体の医療改革も念頭に置きながら、再構築していかなければならない。

 東日本大震災では、岩手、宮城、福島3県の380病院中、300病院が損壊した。うち10病院は全壊である。診療所も全壊約170を含め、2000か所以上が損壊した。

 被災県には、全国から多数の医療支援チームが駆けつけ、地元の医療関係者とともに診療活動にあたってきた。

 こうした支援は1週間ほどで交代を繰り返す緊急的なもので、先月までに、各地のチームはほとんど撤収している。

 地域の医療体制を速やかに作り直す必要がある。

 厚生労働省は、医療支援チームが常駐していた地域などに仮設診療所を建設する方針だ。そのための建設補助金13億6000万円を第1次補正予算に盛り込んだ。

 問題は人材の確保である。

 被災県は元々、医師不足が深刻な地域だ。少なくとも月単位で同じ医師が対応できるよう、腰をすえた支援が必要だろう。

 日本医師会など医療・介護関係の約30団体で作る被災者健康支援連絡協議会は、「医療者派遣システム」をスタートさせた。被災地からの要請で、全国の病院や医師会などが人材を送る仕組みだ。

 すでに、徳島県の医師が2か月間の予定で宮城県の病院に赴くなど、実績を上げている。

 このシステムが十分に機能し、将来も持続するならば、被災地以外の地域にも心強いものになるだろう。医師不足は地域によって深刻度に差はあれ、全国共通の問題であるし、突発的な医療空白はどこでも生じうるからだ。

 行政と地元大学、医師会などが協力して医療機関や人材を計画的に配置し、地域医療を効率化する視点も重要である。被災地が医師不足にあえぐ地域のまま「復旧」するのでは意味がない。

 宮城県では、東北大学が、沿岸部の医療体制を津波被害を免れた病院を中心として大胆に集中・再編する構想を示した。

 岩手県でも、岩手医科大学が、インターネットを利用して基幹病院と診療所や福祉施設が連携する「遠隔医療システム」の先進地をめざすプランを提唱している。

 大震災を機に、こうした様々な医療改革案が打ち出され、具体化への取り組みが始まっている。

 政府には、特区など法整備や財政措置で、被災地の医療再生を後押ししてもらいたい。

2011年8月21日01時21分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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