HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 47141 Content-Type: text/html ETag: "f17e4-1287-eab93f80" Expires: Fri, 19 Aug 2011 00:22:16 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 19 Aug 2011 00:22:16 GMT Connection: close 8月19日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


現在位置は
です

本文です

8月19日付 編集手帳

 「渦」という字の右側、2階建て家屋のような(つくり)の部分は骨の関節をかたどったものらしい。手もとの漢和辞典によれば、渦巻きの丸い形から関節を連想して成り立った文字という◆災禍の禍、「わざわい」と読むその字にも同じ旁がある。こちらは、災禍をもたらす落とし穴の形を丸い関節に見立てている。関節のおかげで手足の動きに融通が利く反面、利きすぎたところには落とし穴も潜む。渦に生じたわざわいの惨事である◆浜松市の天竜川で、23人の乗った「遠州天竜舟下り」の船が渦に巻き込まれて転覆した。2人が死亡し、3人が行方不明になっている◆国が12歳未満に着用を義務づけている救命胴衣は、該当する乗客6人のうち1人しか身に着けていなかった。船頭が子供の乗客に「(着用せず)暑いから置いておいて」と話していたという。融通を利かせたつもりの安全軽視はほかにもなかったか◆吉野弘さんに、『過』という詩がある。〈日々を過ごす/日々を(あやま)つ/二つは/一つことか…〉。“融通が利く”と“規律がゆるい”の境界があいまいになったとき、落とし穴は日常のすぐ隣にある。

2011年8月19日01時14分  読売新聞)

 ピックアップ

トップ
現在位置は
です