HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 19 Aug 2011 00:09:38 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:戦争中の昭和十八、九年、東京は向島の原っぱで、子どもたちが…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

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 戦争中の昭和十八、九年、東京は向島の原っぱで、子どもたちが相撲に興じていた。ガキ大将は、後に編集者を経て、作家となる半藤一利さんだ▼その中に、大きい目をむいて、年長の子をうっちゃる三、四歳のやせた子がいた。世界の本塁打記録を塗り替えた王貞治さんである。年上ばかりの中、しょっちゅうゴツンとやられても、めげずに姿を見せていた(半藤一利著『隅田川の向う側』)▼「あの足腰はオレが鍛えてやった」と半藤さんはひそかに自負したそうだが、王さんには記憶はないらしい。年齢の違う子どもが群れて遊ぶ。そんな光景は、最近は珍しくなった▼男の子に交じってボールを蹴り続けてきた少女がいた。レギュラーになっても小学生の全国大会の予選に出られない。かつて、女子には出場資格すらない時代があったのだ▼「どうして、女の子に生まれたんだろう」。サッカー女子ワールドカップで優勝した日本代表の沢穂希(ほまれ)主将は、著書『ほまれ』でそう述懐している。先人たちが壁を一つ一つ乗り越えた先の栄冠だった▼なでしこジャパンにきのう、国民栄誉賞が授与された。三十四年前、最初に受賞した王さんは、駐車違反にすら気を使ったそうだ。注目度は一層高まるが、あまり窮屈に感じてほしくはない。ロンドン五輪の予選も始まる。アジアの強豪チームをうっちゃる粘り腰に期待する。

 

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