HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 19838 Content-Type: text/html ETag: "61396b-4813-9f20e680" Cache-Control: max-age=5 Expires: Tue, 16 Aug 2011 23:21:10 GMT Date: Tue, 16 Aug 2011 23:21:05 GMT Connection: close asahi.com(朝日新聞社):天声人語
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天声人語

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2011年8月17日(水)付

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 ゆうべは各地で送り火が焚(た)かれて、ご先祖様はお帰りになった。瓜(うり)の馬と茄子(なす)の牛には、来るときは馬に乗って少しでも早く、帰りは牛でゆっくり名残を惜しんで、という心遣いがこもる▼ひるがえって政界である。「退陣表明」後も茄子の牛に揺られるごとくだった菅首相が、ようやくのお引き取りとなる。こんな時は永田町の動きは速い。思惑は入り乱れ、盆休みが明ければ「ポスト菅」一色となろう。早ければ今月中にも新首相が選ばれる▼菅さんはこの辺が潮時だろう。刀折れ矢尽き、燃え尽きるまで行けば本望でも、一国の首相はそうもいかない。震災に超円高が重なる難局に、首相の退陣時期が最大関心事の政治では、貧相にもほどがある▼後任選びで先行するのは野田財務相という。七福神の衣装が似合いそうな野田さんだが、増税論者らしい。さらに野党との大連立を唱える。それにはマニフェストの見直しが避けられない。そして原発。このあたりの絡み合いが争点となろう▼大連立を飾る「オールジャパン」のイメージは力強い。ある目的のために組むという行為は高揚感を呼ぶ。企業も合併で意気上がる。三国同盟の興奮も昔あった。突破力という魔法の杖を得る気になるが、ここは冷静に、マイナス面への思慮も必要だ▼動き始めた「剛腕」もいる。こういう時は水を得た魚のようになる、不思議な人である。復権をかけて瓜の馬ならぬ「勝ち馬」に乗りたいらしい。見飽きた映像の再放送なら、もう御免だが。

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