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2011年8月17日(水)付

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中国空母―今は「張り子の虎」でも

中国初の空母が出航した。地元の大連だけでなく、中国各地で多くの人々が喝采した。列強の侵略を受けた記憶がまだ生々しい中国だからこそ、強国の象徴として空母が国民から歓迎され[記事全文]

飲酒運転―常習者に厳しい対策を

福岡市で飲酒運転の車に追突された車が海に落ち、幼児3人が命を落とした痛ましい事故から、今月25日で5年になる。あの事故をきっかけに厳罰化の流れが加速し、酒に甘い日本社会[記事全文]

中国空母―今は「張り子の虎」でも

 中国初の空母が出航した。地元の大連だけでなく、中国各地で多くの人々が喝采した。

 列強の侵略を受けた記憶がまだ生々しい中国だからこそ、強国の象徴として空母が国民から歓迎されるのだろう。

 しかし、近隣国は心穏やかにはいられない。南シナ海の島々をめぐり、中国と領有権を争うベトナムなどからすれば、脅威と映るのは当然だ。

 とはいえ、この空母は旧ソ連が1980年代に建造を始めたものの、崩壊とともに投げ出された旧世代の艦である。

 全面的に改修されたようではあるが、艦載機はまだ配備されていない。エンジンやレーダーなどの性能を確認するのが当面の航行目的だ。

 毛沢東はかつて、米国の原子爆弾を「張り子の虎」と呼んだ。これに倣えば、試験航行したばかりの空母も、今の段階では「張り子の虎」に過ぎないといえるかもしれない。名前もまだつけられていない。

 問題は、中国が今後、空母をはじめとする海軍力をどのように展開していくかだ。

 中国は経済発展とともに、世界中に「国益」を広げてきた。シーレーンや資源の確保のため、これまでも海軍力を目覚ましく増強させてきた。

 公表されていないが、上海では初の国産空母を建造中だ。試験航行している空母のデータは国産空母に活用されるという。米軍空母も目標とできる対艦弾道ミサイルも開発中だ。

 中国への警戒感から、東南アジア各国は米軍との共同軍事演習に力を入れるとともに、国防予算を増やしている。潜水艦や艦船の導入を急ぎ、装備の更新に余念がない。すでに空母を持つインドは新空母を建造中で、潜水艦の整備も進めている。

 その一方で、各国とも中国との経済的な結びつきは強まるばかりだ。

 中国をはじめアジアの経済は大きく発展しているが、国内の経済格差は拡大している。社会保障の充実やインフラ整備に注ぐべき財源を軍備拡張に多く費やすのはいかがなものか。

 各国とも地道な外交努力を通じて信頼醸成をめざす道を優先させるべきだ。その際、圧倒的な力を持つ中国の責任の大きさを改めて指摘しておきたい。

 日本も東シナ海で中国と対立している。南シナ海の情勢もひとごとではない。

 日米同盟を軸にアジア諸国と協調しながら中国に向き合う。その基本線を押さえたうえで、中国との直接的な関係を深める努力もこれまで以上に必要だ。

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飲酒運転―常習者に厳しい対策を

 福岡市で飲酒運転の車に追突された車が海に落ち、幼児3人が命を落とした痛ましい事故から、今月25日で5年になる。

 あの事故をきっかけに厳罰化の流れが加速し、酒に甘い日本社会の意識も変わってきた。その表れだろうか、2010年の飲酒運転による死亡事故は1990年に比べて79%減の287件になった。

 それでも悲惨な事故は後を絶たない。例えば今月7日、茨城県土浦市で飲酒運転の車が対向車線に出て正面衝突、2人が死亡した。

 国立病院機構久里浜アルコール症センターの樋口進院長は「飲酒運転根絶には、アルコール依存症の人に治療や教育を受けさせる仕組みを早急につくる必要がある」と指摘する。

 アルコール依存症は酒を飲みたい欲求が抑えられなくなり、飲まないと震えが止まらない症状などが現れる精神疾患だ。

 厚生労働省の研究班の調査によると、飲酒運転で2回以上検挙されたことがある男性ドライバーの36%にアルコール依存症の疑いがあり、検挙された回数が増えるほど依存症の可能性が高まる傾向があった。

 「酒を飲んでも一晩眠れば大丈夫」と考えている人は少なくあるまい。だが、アルコールの消失にはビール中瓶1本だけでも5時間かかる。そんな知識を広める活動も欠かせない。

 飲酒運転の再犯を防ぐため、さまざまな工夫がされている。

 米国では40余りの州で、違反者にアルコール問題の教育・治療を図るプログラムの受講を義務づけている。初犯でも最低3カ月という長期間である。

 国内でも昨年度から神奈川など一部府県で、免許を取り消された人に、酒の飲み方を変えてもらう特別講習を試している。ぜひ米国なみの厳しい教育や治療を義務づけてもらいたい。

 米国やカナダの大半の州や豪州の過半の州では、違反を繰り返す者は、酒気を検知すると車を動かなくする装置を取り付けなければならない。最近はニューヨーク州など「初犯者にも義務付け」が増えてきた。

 国内にも自主的に導入した運送会社はあるが、まだ千数百台にとどまる。NPO法人MADDジャパンは、違反常習者の車にこの装置を義務づける法律作りをめざしている。

 今年、バスやタクシー、トラックなどの事業者に始業前の飲酒検査が義務づけられた。さらに進めて、こうした業務でなくても違反歴のある人には、検知装置を車につけさせるほどの厳しい対策を日本でも考えたい。

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