HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 48875 Content-Type: text/html ETag: "15cda0-165b-64611700" Expires: Sat, 13 Aug 2011 21:21:23 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 13 Aug 2011 21:21:23 GMT Connection: close 避難準備区域 住民の帰宅に向け環境整備を : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


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避難準備区域 住民の帰宅に向け環境整備を(8月13日付・読売社説)

 東京電力福島第一原子力発電所から半径20〜30キロ圏に設定された緊急時避難準備区域について、政府は9月上旬にも解除する方針だ。

 解除は、復興に向けた一歩となろう。だが、住民の放射能への不安は解消されていない。生活基盤の復旧も遅れている。政府は、区域内の市町村と一体となって、住民の帰宅に向けた環境を整えなければならない。

 避難準備区域は、原発で緊急事態が発生した場合、屋内退避や域外避難が迫られる地域だ。子供や妊婦、入院患者らは入らないよう求められている。区域内の住民約5万8500人のうち2万5000人が避難している。

 政府は、域内5市町村に対し、放射性物質の除染作業の予定や、学校・病院など公共サービスの再開時期をまとめた復旧計画を1か月程度で作成するよう要請した。市町村の計画がそろい次第、一括解除するとしている。

 事故原発からの放射性物質の放出がひとまず管理可能な状況になるとの判断があるのだろう。

 解除までの課題は多い。

 市町村からは「子供たちが帰ってくることを考えると、丁寧に除染する必要がある」という声が上がっている。

 政府は、積算基準値や具体的作業手順など放射線の除染の基本方針を早急に示した上で、市町村の除染計画作成に協力すべきだ。

 除染で取り除いた土壌や汚泥の行き場がないことも問題だ。学校の表土を削り取り、校庭に穴を掘って保管する自治体もある。政府と自治体が協力して最終的な処分方法の検討を急ぐ必要がある。

 除染によって放射線量が低水準に落ち着いたとしても、生活インフラや医療、教育、就労などの公共サービスが整わなければ、生活は成り立たない。

 下水処理施設の再稼働のメドが立たない町もある。医師の確保などは市町村だけで解決できない。政府と県が連携して後押しすることが求められる。

 解除されても、直ちに住民の帰宅が始まるわけではない。帰宅時期は、5市町村がそれぞれ決定する。市町村は住民の意向に十分配慮して判断してもらいたい。

 一方で、半径20キロ圏内の警戒区域や、20キロ以遠で年間の積算放射線量が20ミリ・シーベルトに達する可能性がある計画的避難区域は、解除の見通しが立っていない。

 政府は、こうした区域の除染や環境モニタリングを強化して、解除の道筋を早期に示すべきだ。

2011年8月13日01時27分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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