HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 13 Aug 2011 00:06:45 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:ひどい目に遭い、自分ではもう買う気にならない商品を、買いた…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

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 ひどい目に遭い、自分ではもう買う気にならない商品を、買いたいという人がいたら、当然、「やめておけ」というのが人の道だろう▼だが、政府の考えは違うようだ。原発の輸出を当面は継続する方針を決めたのだという。あの福島の事故を経験した日本、しかも首相は脱原発の方針を打ち出している。それを、よその国に売ろうという感覚が分からない▼事故以前から交渉話があったいくつかの国が相手になるらしいが、第一、「絶対に安全か」「本当に安上がりか」と聞かれたらどう答えるつもりだろう▼自国には捨てられない“危ないゴミ”をよその国に捨てる、という信じられない構想も最近、伝えられた。使用済み核燃料の処分場を、モンゴルに造る話が米国に日本企業もからんで水面下で進んでいるのだという▼長く反原発を主張してきた作家広瀬隆さんの著書『東京に原発を!』の反語的タイトルが象徴するのは、安全だといいながら、都市はメリットだけを享受し、リスクは地方に押し付ける構図。電力需要地の首都圏でなく東北・福島に造られたあの原発も一例だ。モンゴル構想で、その欺瞞(ぎまん)を先進国と途上国に置き換える愚が許されるはずがない▼つまり、保管しておくだけで危険な使用済み核燃料はただ増え続け、捨て場所はどこにもない…。原発維持に無理があるのはこの一点だけでも明白である。

 

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