HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 47707 Content-Type: text/html ETag: "f4d3e-120a-5a632e00" Expires: Wed, 10 Aug 2011 21:21:17 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 10 Aug 2011 21:21:17 GMT Connection: close 8月10日付 よみうり寸評 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


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8月10日付 よみうり寸評

 世界的ピアニストの舘野泉さんは2002年1月、フィンランドでの演奏会の最中に、突然、右手が動かなくなった。舞台で倒れ、病院に運ばれる。脳溢血(のういっけつ)だった◆リハビリに努めたが、右手の動きは戻らない。失意の日々を送っていたころ、福島県南相馬市(当時は原町市)から、新たに建てる市民文化会館の名誉館長になってほしいと依頼される◆「要請が励みとなりました」。舘野さんは左手だけでピアノを弾く訓練を重ね、会館がオープンした04年から演奏活動を再開した。以後、世界中の聴衆を魅了していく◆東日本大震災と原発事故で、多くの住民が避難を強いられた南相馬市。会館も営業休止を余儀なくされた◆市は今月から、避難者の帰還に備え、放射性物質への不安を取り除こうと、独自に市内の除染作業を始めている◆希望を捨てず、前に進む南相馬の姿が舘野さんと重なり合う。いつか文化会館で名誉館長のリサイタルが催される日も来るだろう。ピアノの調べが、きっと市民を勇気づけるに違いない。

2011年8月10日13時45分  読売新聞)

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