HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 10 Aug 2011 23:05:57 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:自殺対策 心折れる前に救いたい:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

自殺対策 心折れる前に救いたい

 全国の自殺者は今年上半期で一万五千人を超えた。依然、年間三万人のペースが続く。生活が激変した東日本大震災の被災者は、これからがストレスに耐えきれず心が折れそうになる時期だ。

 毎日八十八人が命を絶っている。その家族や友人の数だけ広がる悲しみにやりきれなさが募る。

 警察庁によると、一〜六月の自殺者は一万五千八百八十五人だった。東日本大震災後は三カ月連続で、前年の同じ月より増えているのが気になる。

 また内閣府が大震災後に初めて実施した調査では、震災と関連があると推定される自殺者は六月だけで宮城、岩手、福島三県をはじめ全国で十六人になった。年代別では五十、六十歳代が多かった。

 被災者は災害のトラウマ(心的外傷)、家族などを失った喪失感、家や仕事をなくしたことによる将来への不安など過度のストレスにさらされている。

 阪神大震災では、震災から時間が経過してから自殺が目立つようになった。被災から約五カ月がたち、被災者の張り詰めた心の糸が切れないか心配になる。

 自殺は「自ら選んだ死」ではない。失業や多重債務、長時間労働などの経済問題、家庭や健康問題などさまざまな要因が絡む。抱えた悩みから精神疾患にかかる人が多く、正常な判断ができずに自殺する「追い込まれた末の死」だ。

 六月に公表された政府の自殺対策白書もそう指摘し、自殺は社会的な支援で「防ぐことができる社会問題」であると訴えている。この認識を広く共有したい。

 五年前に施行された自殺対策基本法は国、自治体、企業に加え国民にも取り組みを求めている。医療的ケアや生活支援、相談窓口整備など社会全体が一丸となって幅広い支援をする必要がある。

 その中でも住民に身近な自治体の責務は大きい。京都府京丹後市が呼び掛けて全国百二十三自治体が、自殺対策の知恵を出し合う「自殺のない社会づくり市区町村会」を設立した。被災地の十二自治体も参加している。

 例えば各地の保健師が情報交換を通して対策を考える。具体的で有効な対策を期待したい。

 被災地では仮設住宅で孤立化を防ぐため、住民同士が交流したり、保健師が巡回するなど追い詰められる前のケアなど努力が続けられている。

 被災者が再起しなければ、復興には向かわない。

 

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