HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 19733 Content-Type: text/html ETag: "6c11e6-47aa-e79c3dc0" Cache-Control: max-age=5 Expires: Wed, 10 Aug 2011 23:21:25 GMT Date: Wed, 10 Aug 2011 23:21:20 GMT Connection: close asahi.com(朝日新聞社):天声人語
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天声人語

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2011年8月11日(木)付

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 山の高みで仰ぐ星空は素晴らしい。冴(さ)えざえと豪勢なのは何と言っても冬だが、いかんせん寒い。心地よく星を数え、長い間眺めていられるのは、夏山だろう。どこかで堪能してきた方もおられようか▼文才を知られた昭和初期の名登山家、大島亮吉の短い文を思い起こす。〈高い尾根の岩蔭(かげ)で寒い山上の晴夜をすごす時、われらはとぼしい偃松(はいまつ)の焚火(たきび)をもって、星と大地に人間存在の象徴を示そう〉。短文ばかりを集めた中の一節は、高嶺(たかね)の涼気を呼ぶように美しい▼天空からもメッセージが届く。毎年いまごろになるとペルセウス座流星群が夜空を流れる。今年は全国で、明日から14日未明までが見ごろという。音もなくきらめき、一条の筋を引いて消える光が肉眼で見える。今年は月が邪魔だが、晴夜の山は最高の場となる▼ところで宇宙の平均的な暗さはどれほどなのか。名大と東大が共同で世界初の計測に成功したそうだ。真っ暗な東京ディズニーランドの敷地にろうそくを3本ともした程度というから、ほぼ漆黒に近い▼地球から見上げる夜空は、それより千〜1万倍明るいという。大気そのものが放つ光や、宇宙のちりで拡散された太陽光、天の川銀河の光のためだ。加えて照明の氾濫(はんらん)がある。平均的な暗さなら、星々は私たちの目にどう映るのだろう▼盆休み。田舎へ帰省して、都会と違う夜の深さに流れ星を探す子もいよう。〈真砂(まさご)なす数なき星の其(その)中に吾(われ)に向ひて光る星あり〉子規。星にかける願い事は、さて何を。

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