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8月9日付 よみうり寸評

 東京・井の頭自然文化園の彫刻館に高さ約9・7メートルの石こう像がある。長崎の平和祈念像とうり二つだが、複製品ではない。この石こう像を原型に鋳型が作られ、1955年、平和祈念像は完成した◆空を指さす右手は原爆を、水平に伸びた左手は平和を表し、まぶたを閉じて犠牲者の冥福を祈る。長崎県出身の彫刻家・北村西望が園内のアトリエで想を練り、制作に打ち込んだ◆ある日、北村が作業を始めようとすると、前夜は足元にいたカタツムリが像の頭まで上っている。〈たゆまざる歩みおそろしかたつむり〉と北村は詠んだ◆自分は天才ではないので、人が5年でやることを10年かけてでもやらねばならないと、北村は覚悟を示していた。言葉通り、87年に102歳で亡くなるまで彫刻と向き合う◆歩みは遅くとも歩を進めれば、いつかは高みに達する。句にはそんな思いが込められている◆きょうは長崎の原爆忌。米国政府代表が長崎の式典に初めて出席することも「一歩」だろう。平和を願い、たゆまず歩み続けたい。

2011年8月9日13時46分  読売新聞)

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