HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 10 Aug 2011 03:06:13 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:取り調べ可視化 全過程録画が不可欠だ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

取り調べ可視化 全過程録画が不可欠だ

 法務省の勉強会が取り調べの録音・録画(可視化)の調査報告書をまとめた。裁判員対象事件すべてで試行されるが、前提が「一部録画」にとどまる。冤罪(えんざい)防止のためには全過程の録画が不可欠だ。

 裁判員制度の対象となる重大事件では、原則として全事件で、できる限り広い範囲で録音・録画を試行する。具体的には、身柄を拘束した初期段階の取り調べや、被疑者が否認しているケースでも実施する。供述調書が作成されていない段階でも録音・録画する。同省の報告書はこう述べている。

 二〇〇九年に当時の千葉景子法相のもとで設置された勉強会が出した最終報告である。一年後をめどとして、その有効性や問題点などを多角的に検証するともいう。

 これまでは、基本的には自白した被疑者に供述調書を読み聞かせる部分のみを録画していたにすぎない。検察官にとって都合のいい部分だけの“つまみ食い”だという批判があった。

 それに比べれば、否認事件などにまで拡大することは、一歩前進と受け止められるかもしれない。だが、どの部分を録画して、どの部分を録画しないかは、相変わらず検察官の裁量に任せられている点では変わりがない。

 過去の冤罪事件では、密室で長時間にわたって自白を強要されたり、誘導されて「虚偽自白」に至っていた。そもそもなぜ可視化が必要なのかを考えれば、そのような冤罪を二度と起こさないためである。不適正な調べを防止するためである。

 取り調べの状況が客観的に記録されていれば、公判段階で裁判員らが冷静に画像や音声を通じて判断できるはずだ。

 報告書には「一律に録音・録画を義務付けるような制度を構築することは適当でない」とも書かれている。「負担やコストは相当大きなものになる」「取り調べの機能を障害する恐れがある」などの理由からだ。

 コストは冤罪防止と天秤(てんびん)にかけられる性質のものではなかろう。少なくとも被疑者と弁護人が要求するケースでは、全過程を録画するべきだ。暴力団事件などで供述が得られない場合も考えられるが、これらは「例外」とすればよいのではないか。

 原則として全過程の録画をしてこそ可視化と呼べる。検察官の裁量が入った「一部録画」には、かえって裁判員らに誤った認識を与える危うさが潜む。

 

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