HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 49291 Content-Type: text/html ETag: "15cc99-167b-bf1e5280" Expires: Tue, 09 Aug 2011 03:22:04 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 09 Aug 2011 03:22:04 GMT Connection: close コメ先物復活 農家の経営感覚高める一歩に : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


現在位置は
です

本文です

コメ先物復活 農家の経営感覚高める一歩に(8月9日付・読売社説)

 先物をうまく活用すれば、農家経営の安定やコメ価格の透明性向上も期待できる。市場を意識した競争力あるコメ農業への一歩としたい。

 コメの先物取引が8日、東京穀物商品取引所と関西商品取引所で72年ぶりに再開した。

 取引初日は買い注文が殺到し、関東産コシヒカリを取引銘柄とする東京では、値段が付かずに終了する波乱の幕開けとなった。

 福島第一原子力発電所の事故を受け、放射能汚染がコメにも広がれば供給が不安定になる、との臆測が強まったためとみられる。

 様々な要因が価格に影響を及ぼす市場取引の特性を示す結果になったと言えよう。

 先物市場は、将来の売買価格を事前に決めておく商品取引だ。

 コメの場合、農家と流通業者が収穫前に売買価格を契約する。

 例えば、60キロ当たり1万3000円で売ると契約しておけば、実際の価格が1万2000円になっても契約額で売れる。

 逆に1万4000円に値上がりしても予定の金額しか得られないが、農家は相場にかかわらず収穫前に収入を把握でき、営農計画を立てやすくなる利点がある。

 先物価格が、コメ取引の指標として使われる可能性もある。コメの現物価格は、生産者と流通業者が個別交渉で決めることになっているが、実際には、流通量の6割を占める農協が価格決定の主導権を持つことが多い。

 幅広い関係者が参加する先物取引の結果が、個別交渉での目安となれば、価格決定が売り手と買い手の力関係ではなく、市場実勢を反映したものとなろう。

 ただ、農協は先物に反対し、取引に参加していない。「コメの需給に悪影響を与える」などと主張しているが、価格支配が弱まり、自らのコメ権益が脅かされることを警戒しているのではないか。

 コメ政策の基本方針は、政府や農協の管理が強かった生産・流通面の自由度を増すことにある。

 政府はコメの生産量を強制的に減らす減反によって価格を維持する政策から、価格を市場に委ねる考え方に転換した。戦時統制で廃止された先物取引を、2年間の試験的措置として復活させたのも、こうした流れに沿ったものだ。

 一方、先物には短期的な利益を狙う資金が流入し、価格を乱高下させる懸念も指摘されている。

 農林水産省は投機的資金を抑えるため、値幅や取引数量の制限などを実施する。安心して参加できる監督体制の徹底を求めたい。

2011年8月9日01時14分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

 ピックアップ

トップ
現在位置は
です