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8月8日付 編集手帳

 明治の洋画家、青木繁は東京美術学校(現・東京芸大)を卒業した1904年の夏、房総半島・()()の海岸に滞在した。ここで描き上げたのが代表作「海の幸」だった◆裸の男たちが、サメを背負って砂浜を2列で行軍する謎めいた絵だ。地元、安房神社の夏の例祭の神輿(みこし)に着想を得たのではないか。青木没後100年の今年、そんな新説も注目を集めている◆青木は息子を幸彦と名付けるほど、古事記の海幸彦・山幸彦の物語に深い関心を寄せていた。人間と海との関わりを描いた「海の幸」には、祝祭的エネルギーが満ちあふれている◆東北の太平洋岸でも、大漁などを祝う夏祭りのシーズンを迎えている。だが、今年は津波で漁船や漁具が流され、養殖場や水産加工場も大きな被害を受けた。中止になった祭りもある◆「これだけ海に蹂躙(じゅうりん)されながら、海に(うら)みをもつ人はいない」。宮城県気仙沼市で養殖を営むエッセイストの畠山重篤さんは、本紙への寄稿の中でこう述べている。海への畏敬の念は、太古から継承されてきたものかもしれない。がれきで汚れた海も早く(よみがえ)り、海の幸で満たされることを祈る。

2011年8月8日01時15分  読売新聞)

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