HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 48963 Content-Type: text/html ETag: "fe290-163f-66400b40" Expires: Sat, 06 Aug 2011 03:21:26 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 06 Aug 2011 03:21:26 GMT Connection: close 原子力安全規制 組織一元化で信頼を取り戻せ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


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原子力安全規制 組織一元化で信頼を取り戻せ(8月6日付・読売社説)

 福島第一原子力発電所の事故を受け、原子力安全規制に関する行政組織を再編する試案を政府がまとめ、公表した。

 原発推進を担う経済産業省から原子力安全・保安院を分離し、内閣府の原子力安全委員会と統合して、「原子力安全庁」(仮称)を新設する。

 安全庁には、文部科学省など関係各省に分散している安全規制の関連部門も一元化して、規制体制を一新する方針だ。

 現体制では、福島第一原発の事故を防げず、事故後の対応も後手に回った。安全庁は安全対策を徹底し、国民の信頼を得られる組織とならなければならない。

 経産省からの保安院分離は、当然の措置である。

 国際的にも、規制組織の独立は鉄則とされている。国際原子力機関(IAEA)からも、かねて日本の課題と指摘されてきた。

 規制部門でありながら、保安院が、住民説明会で原発推進の発言を増やすよう、電力会社に働きかけたことも発覚した。

 経産次官や保安院長など幹部を更迭したところで、不信を払拭できるわけではない。

 問題は、安全庁を政府のどこに位置づけるかだ。再編案は、内閣府と環境省の両論を併記した。

 より中立性が高く、規制に力を発揮できる組織とするために、どちらがふさわしいか、閣内で見解が分かれたからだ。

 内閣府に置くなら、少子化対策や防災など他の分野との兼務ではなく、安全庁担当の専任閣僚を設ける必要がある。

 環境省は、産業活動の規制で実績を持つ。一方で、地球温暖化対策の観点から、温室効果ガスをほとんど出さない原発を後押ししてきた、とも指摘されている。

 再編案は近く閣議決定される予定だ。ただ、退陣する菅首相のもとで決める問題なのか、との指摘も出ている。禍根を残さぬよう議論を尽くしてもらいたい。

 再編案は、知識や専門性を備えた人材の育成も課題として掲げている。重要な問題だが、脱原発や減原発が議論される中で、優れた人材が集まるだろうか。

 原子力規制の関連法も、欧米のように、重大事故の発生を前提とした内容になっていない。抜本的な見直しが求められる。

 政府は来年4月には安全庁を発足させる方針だ。関連法案をまとめ、国会で審議するには、時間的余裕はあまりない。

 原子力政策をどう進めるかを含め、議論を急ぎたい。

2011年8月6日01時14分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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