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8月6日付 編集手帳

 父親が聞く。人間の知恵がつくりだしたものを挙げてごらん。息子が答える。チューインガム、トラクター…「まだ知ってるよ。いちばん大きいのを」「ほう、なんだい?」「原子力」「それだ!」◆『長崎の鐘』の永井隆博士と、当時中学生の長男・誠一さんの会話である。博士が死の病床でつづった『この子を残して』(サンパウロ社刊)に収められている。父は語る。「原子爆弾は人類に、まったく新しい資源の()ることを教えてくれた」と◆長崎の原爆で妻を失い、自身も被爆した人は生涯を通して、人間に備わった知恵の信奉者であったらしい◆核兵器の惨禍を根絶する祈りと、原子力の平和利用がもたらす希望と――顧みれば日本の戦後は、博士の夢想を実現していく歳月であったろう。震災で夢想は大きく揺らいだ。立ち止まる。引き返す。用心しつつ、前に進む。いずれを選ぶにしても、何をどう改めていれば原発事故は未然に防げたのか、綿密な検証から始めなければならない◆きょうは広島、週が明けて長崎と、今年も原爆忌がめぐってくる。「人間の知恵」が、いまほど試されている時はない。

2011年8月6日01時16分  読売新聞)

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