HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 47910 Content-Type: text/html ETag: "f43d0-12f3-d7bd1100" Expires: Thu, 04 Aug 2011 20:21:46 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 04 Aug 2011 20:21:46 GMT Connection: close 8月4日付 よみうり寸評 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


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8月4日付 よみうり寸評

 NHK大河ドラマ「(ごう)〜姫たちの戦国〜」に、江が織田信長から授かった香木を持ち帰る場面がある。信長の妹・(いち)は、娘の江から話を聞いて顔色を変える。「正倉院秘蔵の名香なのじゃ。それを兄上様がこともあろうに自らの手で切り取ったのじゃ」◆信長が正倉院の香木を切り取った史実は「信長公記」に伝わる。自らの権勢を誇示するために違いない。足利義政らが刃を入れた記録も残る◆香木の名は、黄熟(おうじゅく)(こう)という。「蘭奢待(らんじゃたい)」の通称には、正倉院を管理していた「東」「大」「寺」の文字が隠されている◆驚くのはこの香木がいまも受け継がれていることだ。奈良市の奈良国立博物館で開かれる第63回正倉院展(10月29日〜11月14日)で、14年ぶりに展示されることになった◆香木は、切り取った木片をたいて香りを楽しむ。香道では香りを「聞く」と表現する。なるほど「嗅ぐ」よりも情緒がある◆蘭奢待を実際にたくことはできない。だが、近くで目にするだけでも、芳香のささやきが聞こえてくるかもしれない。

2011年8月4日13時58分  読売新聞)

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