HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Fri, 05 Aug 2011 02:06:51 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:子ども手当廃止 育児家庭も置き去りだ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

子ども手当廃止 育児家庭も置き去りだ

 民主党の看板政策だった子ども手当の廃止が決まった。急速な少子高齢化社会を前に、次世代を社会で育てるとの理念はついえた。重要な子育て支援策を政争の具にした与野党の責任は大きい。

 額面年収八百六十万円、額面千二百万円、手取り一千万円、手取り八百六十万円…。

 民主、自民、公明三党が子ども手当折衝のなかで出してきた所得制限額だ。

 「高所得者は減額支給」「所得制限は設けるが数年凍結する」などといった案もあった。政治の判断で支給の有無が左右される人たちが多くいる。

 結局、新制度は旧来の児童手当を増額して復活させただけだ。子ども手当支給対象の約九割には支給されるが、額面九百六十万円程度の所得制限も設けられた。

 政府は二〇一一年度の子ども手当法案が野党の反発で成立させられなくなり、九月までのつなぎ法で現行制度を維持してきた。

 それ以降も子ども手当をめぐる与野党の折衝は続いた。この間約半年、子育て家庭が国会の騒動をどう感じていたか、与野党は考えたことがあっただろうか。

 所得制限を設けない子ども手当は、「社会で子育てを支える」という民主党の理念を象徴する看板政策だった。

 少子高齢化社会を迎え、国の将来や社会保障制度を支えてもらうためにも次世代育成は重要な課題である。民主党の理念は「子育ては家庭の責任」と考えてきた自民党政策からの転換を意味する。

 このメッセージを国民が共有することに大きな意義があったはずだ。だが、野党に公債発行特例法案成立の交換条件にされてしまった。子育て家庭を“人質”にとられ、政治の駆け引きに使われてしまった政府・民主党の責任は大きい。政権交代させた国民の期待を裏切るものである。

 自民党も政権担当時、少子化を止められなかった。自身の無策を棚に上げて子ども手当を批判できないはずだ。

 これだけ譲歩しても、民主党が求める公債発行特例法案成立までにはまだハードルがある。東日本大震災の復興財源確保のために、四月の三党合意で求められている高速道路無料化、法人税減税などの見直しが進まなくては実現しない。

 国会の政争は、被災地の復興も遅らせている。被災者は置き去りにされているが、それは子育て家庭も同じだ。

 

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