HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 05 Aug 2011 01:08:38 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:経産首脳人事 これでは改革が進まぬ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

経産首脳人事 これでは改革が進まぬ

 海江田万里経済産業相が松永和夫事務次官を更迭し、後任に安達健祐経済産業政策局長を起用した。これでは旧来路線の踏襲が明らかだ。菅直人政権は原発・エネルギー政策を見直せるのか。

 経産省の悪弊はかねて指摘されてきた。地位を利用して得た内部情報を基に株式取引するインサイダー疑惑は数年ごとに表面化し、最近も指摘されたばかりだ。

 省の基本政策として原発を推進する一方、電力会社に天下りを繰り返す。それが安全監視の甘さにつながり、福島第一原発事故の遠因になった。

 致命的だったのは、国が主催したシンポジウムで原子力安全・保安院が原発賛成のやらせ発言を依頼していた一件だ。表向き安全監視の役割を担いながら、実際には国民の目が届かない舞台裏で原発推進の旗を振っていた。

 資源エネルギー庁も新聞やネット情報を監視していた件が明るみに出た。保安院と資源エネルギー庁、本体の経産省は人事上も一体だ。松永次官に加えて寺坂信昭保安院長と細野哲弘資源エネ庁長官の責任も問うのは当然である。

 菅首相は原発事故を受けて、エネルギー政策を白紙で見直し、電力事業の発送電分離も視野に入れながら「脱原発依存」を進めていく方針を掲げている。

 ここは保安院だけでなく、経産省本体を含めた解体的出直しと政策路線の全面転換が求められる局面であるはずだ。従来の政策路線や積み重なった悪弊と決別しなければならない戦後最大の非常時と言ってもいい。

 ところが、海江田経産相は省内の筆頭局長である安達氏の次官昇格を決めた。まさに年功序列の順送り人事である。本来なら、改革派官僚を抜てきするくらいの覚悟で臨むべきだったのに結局、省内秩序を優先してしまった。

 政官業が一体となって「原子力村」を構成している原発・エネルギー分野は既得権益の塊でもある。利権構造を打ち破るには相当な力業がいる。にもかかわらず、過去の政策立案に深くかかわってきた局長の昇格をすんなり認めるようでは、政策の見直しが進むとは到底思えない。

 菅政権は東日本大震災を受けて霞が関の人事凍結方針を決めていた。それが原発事故の責任官庁である経産省の順送り人事を許しているようでは「焼け太り」容認ではないか。菅政権が「けじめをつけた」と考えているとしたら、とんでもない勘違いである。

 

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