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8月3日付 編集手帳

 『影を慕いて』や『悲しい酒』などを作曲した古賀政男さんが死去の2日前に書いた草稿がある。〈私の歌の好きな人はみんな悲しい人達ばかりだ…早くそんな歌が唄われなくなる日が来ると()い…悲しみなんかもう沢山(たくさん)だ〉◆以前、東京・渋谷にある「古賀政男音楽博物館」を見学した折、展示されていた草稿の一部を書き留めて帰った。その隣には、大衆文化への功績をたたえて追贈された国民栄誉賞の盾が飾られてあったのを覚えている◆「悲しみ」は戦争の記憶だろう。いまでもその賞の名を聞くたび、草稿の一節が浮かんでくる◆サッカーの女子ワールドカップを制した日本代表「なでしこジャパン」に国民栄誉賞が授与される。震災以降、ついぞ忘れていたガッツポーズのこぶしを何万、何十万人の日本人がテレビの前で振り上げた朝を思い返せば、当然の受賞だろう。菅首相による“政治利用”と批判する声もあるようだが、もはやそれしきで浮揚する政権ではなし、うるさく言うこともあるまい◆〈悲しみなんかもう沢山だ〉。なでしこたちの顔を思い浮かべつつ、古賀さんの言葉をかみしめている。

2011年8月3日01時38分  読売新聞)

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