HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 48926 Content-Type: text/html ETag: "ba763-1645-4a147dc0" Expires: Mon, 01 Aug 2011 22:22:11 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Mon, 01 Aug 2011 22:22:11 GMT Connection: close 空母試験航行へ 中国軍の膨張に警戒を怠るな : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


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空母試験航行へ 中国軍の膨張に警戒を怠るな(8月2日付・読売社説)

 中国軍の膨張が新たな段階を迎えつつある。日本は、備えを怠ってはなるまい。

 中国国防省の報道官は1日の建軍記念日に先立つ先月下旬、空母を改修中であることを初めて公式に認め、「研究と試験、訓練に使用する」と説明した。

 遼寧省大連で改修中の、排水量6万トン級の旧ソ連製中型空母「ワリャーグ」を指したものと見られる。中国として空母の試験航行に乗り出す方針を示したものだ。

 浙江省温州での高速鉄道列車事故後まもない時期に、空母計画を明らかにした背景には、事故対応を巡って高まる国民の政府批判を抑え、関心をそらしたいとの思惑があったのかもしれない。

 試験航行が始まれば、中国軍は空母上での艦載機による離着艦訓練などを行うことになる。

 このほか、未公表ながら、上海では初の国産空母を建造中だ。

 随伴艦の建造などを経て、2020年までに空母戦闘群を完成させるとも指摘されている。

 中国の空母配備計画は、外洋への進出戦略の要となるものだ。

 中国は、九州―沖縄―台湾―フィリピンを結ぶ「第1列島線」内に米軍の進入を阻むだけでなく、30年までに小笠原諸島―グアム―パプアニューギニアを結ぶ「第2列島線」の内側での制空・制海権の支配を狙っているとされる。

 その目的の一つは、台湾独立など海峡有事に、米軍の介入を阻む「接近拒否戦略」の任務を担うことにあるのだろう。

 中国軍は、米空母を想定した“空母キラー”と言われる対艦弾道ミサイルを開発中だ。この新兵器と空母戦闘群を統合した新戦略を構築する可能性がある。

 もう一つは、急増するエネルギー需要をにらんでの、南シナ海の天然ガスなど海洋資源の確保と、中東・アフリカの天然資源輸送のためのシーレーン(海上交通路)保護である。

 中国の長期的かつ周到な海洋戦略を前に、日本政府が昨年12月、新たな「防衛計画の大綱」を策定し、南西諸島への部隊配備計画など自衛隊の「南西シフト」を打ち出したのは、当然だ。

 日米同盟を着実に深化させて行かねばならない。沖縄駐留米軍の抑止力の重要性は、一層増していると言える。

 豪州やインドのほか、ベトナム、フィリピンなど東南アジア諸国も中国の海洋進出に神経をとがらせている。日本政府はこれらの国々との連携も模索すべきだ。

2011年8月2日01時39分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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