HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 02 Aug 2011 00:06:22 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:米債務危機 米欧の政治主導に学べ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

米債務危機 米欧の政治主導に学べ

 米国の債務上限引き上げをめぐって民主、共和両党が合意した。ひとまず危機を回避した形だが、財政赤字はなお続く。欧州の財政危機も予断を許さない。問われているのは政治の指導力だ。

 米国では連邦政府の国債発行や借入金など債務の上限が法律で決められている。債務は十四兆ドル余の上限に達し、二日までに引き上げられないと債務不履行(デフォルト)になる懸念があった。

 国際金融取引でもっとも安全とみられ流通度も高い米国国債が償還不能という前代未聞の事態になれば、金融市場が大混乱に陥りかねない状況だった。米国の信用をぎりぎりで守った点で合意を評価したい。

 今回の合意は二段構えだ。債務上限を引き上げる条件として、まず十年間で九千百七十億ドルの歳出を削減する。そのうえで超党派の特別委員会をつくり、一兆五千億ドルの追加削減をめざす。いずれも上下両院で法案可決が必要だ。

 民主党は社会保障費など歳出削減はできるだけ抑える一方、高所得者の増税をしたい。逆に増税には強く反対し、大幅な歳出削減をめざす共和党という対立の基本構図は今後も続く。

 とはいえ、妥協が成立しなければ、金融不安の悪影響は米国にとどまらず世界経済全体に及ぶ。両党には党利党略を超えた大局的判断を望みたい。

 財政危機は欧州でも深刻になっている。ギリシャ危機がアイルランドやポルトガルに飛び火し、一時は欧州の大国であるイタリア、スペインの国債も売られた。

 欧州は国際通貨基金(IMF)と合同で追加支援策を決定し、国債借り換えで民間金融機関にも負担を求める異例の対応をしたが、こちらも、とりあえず小康状態を取り戻しているにすぎない。危機の芽は残っている。

 財政危機は日本も同じである。ただ菅直人政権は増税策に傾斜しているのに対して、米欧が歳出削減にも同時に取り組む姿勢を見せているのは大きな違いだ。官僚主導でなく政治主導である点もおおいに学ぶ必要がある。

 金融市場では、一時一ドル=七六円台まで円高が進んだ。だが、円高は米欧危機の反動というより東日本大震災後の財政支出拡大と金融引き締めが基本的原因だ。実際にマネタリーベースの増加率は五月に減少している。

 日銀には、見せかけの緩和策ではなく、通貨供給を拡大する真の緩和策を望む。

 

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