HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 01 Aug 2011 21:09:14 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:肉牛出荷停止 汚染の連鎖を封じよ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

肉牛出荷停止 汚染の連鎖を封じよ

 牛肉から基準を超える放射性セシウムが検出され、福島県に続き宮城県でも肉牛の出荷が停止された。原発の被害であり、畜産農家の救済は当然である。汚染の連鎖を封じる対策も急務といえる。

 原発から遠く百五十キロも離れた地域でも、放射能に汚染された稲わらが見つかった。それを食べた牛の肉から、暫定規制値である一キログラム当たり五〇〇ベクレルを上回る放射性セシウムが相次いで検出され、大きな混乱を生んでいる。

 福島県産に続いて、宮城県産の肉牛も出荷停止になった。岩手県産も出荷ができなくなる可能性がある。畜産農家にはあまりに残酷で大打撃である。福島県は出荷できない牛をすべて買い上げるとしつつ、この費用はいずれ国に求める方針だ。

 そもそも福島第一原発の水素爆発時に拡散した放射性物質である。肉牛問題は原子力損害賠償紛争審査会でも検討されているが、本来は東京電力が補償すべきものではないか。国としても早く畜産農家の救済策を講じるべきだ。

 問題なのは農林水産省が当初、畜産農家に対しては屋外の飼料を牛にやらないよう通達を出したのに、稲作農家がつくる稲わらに対しては“無策”だった点だ。

 国が放射能の拡散予測システム「SPEEDI(スピーディ)」の数値を長く公表してこなかった点にも問題が潜む。公表していれば、稲わらの汚染対策が取れた可能性もあるからだ。

 対応が後手後手に回ったことで、汚染された稲わらは県境を越えて流通してしまった。十五県の百三十戸の農家が問題の稲わらを牛に与え、既に約二千九百七十頭がほぼ全国に出荷された。このうち暫定規制値を超えた牛は判明しているだけで三十一頭になった。

 しかし、放射性物質の検査を受けたのは約三百九十頭と、全体の一割強にすぎない。既に消費されているものもあるが、早く残りの全頭検査を進め、全容把握につとめなければならない。時間がかかればかかるほど、和牛への信頼回復が遅れる。

 汚染の連鎖の問題も横たわる。放射性セシウムを摂取した牛のふん尿などを原料とした堆肥を農業用に使えば、土壌の汚染につながる恐れがあるからだ。

 育つ野菜などから、やがて放射性物質が検出される可能性もある。腐葉土からも高濃度の放射性セシウムが出た。堆肥など農地への栄養物についても厳重な監視が欠かせない。

 

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