HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 49047 Content-Type: text/html ETag: "ae6cf-16c3-e41f200" Expires: Sun, 31 Jul 2011 22:21:10 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 31 Jul 2011 22:21:10 GMT Connection: close 駐留軍撤退開始 厳しいアフガン自立への道 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


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駐留軍撤退開始 厳しいアフガン自立への道(8月1日付・読売社説)

 新生アフガニスタンの国づくりが大きな転換点を迎えている。

 オバマ米政権は予定通り、アフガン駐留米軍の撤収を開始した。米軍とともに治安維持を担ってきた欧州諸国などの部隊も、これに合わせて人員を削減する。

 駐留軍からアフガン人部隊への治安権限の移譲も始まった。2014年末の完了が目標である。

 派兵を続けてきた国々には、ようやく負担軽減の道筋が見えてきたと言えよう。

 だが、駐留軍が順調に撤退できるかどうかは、アフガン政府の自立にかかっている。

 国際社会の肝いりで誕生したカルザイ政権は、今も脆弱(ぜいじゃく)だ。

 仕掛け爆弾や銃撃による民間人の死者は、今年前半だけで1462人と過去最悪を記録した。その大半は、旧支配勢力タリバンなど反政府組織によるものだ。

 タリバンが根を張る南部の統治を担ってきたカルザイ大統領の弟や側近、有力市長らが最近、相次いで殺害された。何より治安能力の向上が急務である。

 7月の駐留米軍の撤収規模はわずか800人だったが、来年9月までに、全体の3分の1にあたる3万3000人が撤収する。米国はアフガン治安部隊の訓練や養成に対する支援も強化すべきだ。

 米政府やカルザイ政権は、タリバンとの和解交渉も始めた。タリバンを完全制圧するのは難しいとみたからだろう。

 交渉にはタリバンに影響力を持つパキスタンの協力が不可欠だ。米国とパキスタンの間には最近、軋轢(あつれき)が生じており、まず両国関係を改善しなければならない。

 アフガンには今、鉱物資源を狙う中国やインド、影響力拡大を目指すイランが関与を強めている。地域大国の利害が、脆弱な国を一段と不安定化させかねない。

 日本は、武装解除の推進や国際支援会議の開催などを通じて、アフガンの復興に協力してきた。

 民主党政権になって、インド洋での給油活動を打ち切った代わりに、5年間で50億ドル(約4000億円)という巨額の民生支援を約束した。

 これまでに約17億ドルを実施したが、支援の一つの柱は警官約13万人の給与負担である。

 だが、カルザイ政権の汚職体質は改善されていない。警官の2割が“幽霊”だとも言われる。

 日本の援助がアフガンの自立と再建に効果的に活用されているのかどうか、日本政府は厳しく検証する必要があろう。

2011年8月1日01時31分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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