HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Sun, 31 Jul 2011 22:05:50 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:週のはじめに考える 政治を判断する座標軸:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

週のはじめに考える 政治を判断する座標軸

 政治に対する厭世(えんせい)気分が広がっています。根本原因を探れば、国民に「政策を軸にした選択肢」が用意されていない点にあるのではないでしょうか。

 菅直人政権の内閣支持率が急落しています。時事通信によれば、七月の支持率は前月に比べて9・4ポイント落ちて12・5%。他の調査でも同じ傾向です。脱原発を掲げて上昇する要素もありましたが、そうはならなかった。

 事実上「辞める」と言いながら、ずるずると首相が居座る姿に多くの人々がいらだっています。

◆生かされぬ国民の声

 では野党の人気が高まったかというと、そうなっていない。自民党の支持率は15%にとどまり、支持政党なしが67・4%に上っています。つまり、菅政権は支持できないが自民党も支持できない。そんな民意がうかがえます。

 これは何を意味するか。

 大胆に言えば、既成二大政党の枠組みが国民の声を十分にすくい上げていない。そう思います。世論調査が絶対とは言いませんが。

 国民が政治に求めるのは政策です。突き詰めれば、だれが首相だろうと、多数が望む政策をちゃんと実行してくれればそれでいい。国民の採点は選挙で示す。

 そういう仕組みが機能するには、政治家と政党が実現しようとする政策を明快に掲げ、政権をとったなら約束通りに実行してもらわなくてはなりません。

 ところが残念ながら、そうなっていない。民主党政権は二年前の総選挙で「脱官僚・政治主導」の旗を掲げて圧勝しましたが、いま見る影もありません。だから何とも言えぬ厭世感が広がるのです。

 政権が掲げた旗を隠してしまうなら、代わりに私たちが政党と政治家に政策を問うてみたい。それが「政治を考える座標軸」になると思うからです。

◆増税・原発・公務員制度

 具体的に三つ挙げます。まず増税、そして原発・エネルギー、それに公務員制度改革です。

 増税は長い間、論議されてきました。財政が逼迫(ひっぱく)しているのだから、改革を徹底したとしても、いずれ増税を考えざるをえない。多くの国民がそう感じています。

 ところが自民党も民主党も執行部が増税を訴えても、その通りに進まない。菅政権は復興増税を決めようとしたが先送りし、自民党は態度を決められずにいます。

 なぜかと言えば「改革なくして増税なし」「成長なくして財政再建なし」と考える党内野党勢力が両党に存在しているからです。増税への基本的姿勢が執行部とまったく異なると言っていい。

 原発・エネルギーで言えば、党内の合意はもっと難しい。菅政権は脱原発に傾いていますが、閣僚にも強い異論がある。それで「減原発」とか言いだしましたが、言葉遊びには立ち入りません。

 自民党も過去を反省して自然エネルギーの推進を掲げています。では原発をどうするかと言えば、やはり脱原発論者から強力な原発推進派まで混在しています。

 そして公務員制度改革。

 ここでも自民、民主両党が重要課題に掲げながら、たいした進展がない。むしろ、天下りの裏技である官僚の現役出向を公然と認めた民主党政権は逆コースを進んでいると言ってもいいほどです。

 増税と原発推進、公務員制度改革への抵抗。この裏側には共通点がある。それは「官僚の既得権益」です。増税が実現すれば差配できる予算が増える。原発推進政策は電力会社への官僚天下り利権と表裏一体でした。

 議員を選ぶ国民から見れば、政党が「増税、原発・エネルギー、公務員制度改革」という三つの座標軸ですっきりと立場が異なれば投票で判断しやすい。

 ところが自民、民主の二大政党は中がてんでんばらばら、どっちに転ぶか分からない状況で選びようがない。それが現状です。

 であれば、どうするか。

 当面は政党ではなく個々の議員の政治行動をしっかり監視する。選挙前の公約と実際の行動が違っているようなら、次の選挙で支持しない。メリハリが必要です。

 幸いインターネットやツイッターが普及して、政治家は日常的に有権者への説明に力を入れるようになってきました。逆に、何も政治行動を発信しないような政治家は「要注意」とみていい。

 やや先に目を向ければ、政界再編が視野に入ってきます。重要政策で党が一枚岩になれないなら、国民はどうやって望む政策を政党に託すことができるのか。

◆問われる個々の政治家

 それは政党を基礎に首相を選ぶ議院内閣制の根本問題にもかかわっています。短命政権が続く一因でもある。いまは官僚主導から政治主導に移行する過渡期でしょう。だからこそ、政治家一人ひとりの真価が問われています。

 

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