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7月30日付 編集手帳

 児童文学者の巌谷小波(いわやさざなみ)が新潟に旅をして詠んだ句がある。〈川々(かわかわ)橋々柳(はしはしやなぎ)(やなぎ)かな〉。どこの町であったか。新潟県内には、のどかに川の流れる美しい岸辺がいくつもある。一句を味わう人それぞれに、思い起こす場所があるに違いない◆記録的な豪雨が襲ったきのう、テレビの映像で見る川は形相が一変していた。濁流があふれ、あるいは水位の上昇で護岸の崩れる被害が相次いだという。三条市では全世帯3万4000世帯余りに避難勧告が出された◆7年前の「新潟・福島豪雨」では堤防の決壊などにより、新潟県内だけで15人が死亡している。当時の記憶がまだ生々しく残るなかで、人々は眠れぬ一夜を明かしたことだろう◆規模の大小はあれ、各地で土砂崩れも起きている。雨がなお降りつづく今、被害の全容はまだ見当がつかない。これ以上に広がらないことを、犠牲者が出ないことを、祈るばかりである◆源実朝に、雨がやむよう龍王に祈願した歌がある。〈時により過ぐれば民のなげきなり八大龍王雨やめたまへ〉(金槐和歌集)。震災だけで、日本人の嘆きはすでに容量を超えている。雨やめたまえ。

2011年7月30日01時23分  読売新聞)

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