HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Fri, 29 Jul 2011 22:09:18 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:自然エネルギー 電力供給の主役目指せ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

自然エネルギー 電力供給の主役目指せ

 原発偏重のエネルギー政策転換の先導役となる再生エネルギー特別措置法案の本格審議が始まった。電気料金値上がりなど難題も抱えるが国民や経済界の合意を得て電力供給の主役を目指すときだ。

 法案は太陽光に加え、風力や木くずを原料とするバイオマスなど、自然エネルギーによる発電を対象に電力会社が約十五年にわたって電気を固定価格で買い取り、費用を家庭や企業などが広く分担する仕組みだ。

 菅直人首相は自然エネルギーの割合を現在の9%から二〇二〇年代の早い時期に20%に引き上げると表明、段階的に原発依存度を下げて将来は原発に頼らない社会を実現すると語った。三〇年までに原子力を50%以上に引き上げるエネルギー基本計画の見直しであり、自民党も今国会での法案成立に協力姿勢を示している。

 脱原発に異を唱える経団連の米倉弘昌会長らは「固定価格買い取りは生産コストがかさみ、企業を海外に追いやる」「自然エネルギーの発電量は、たかが知れている」と反対姿勢を崩さない。

 確かに自然エネルギーは力不足に見えるが、世界の発電量は既に原発を超えている。「たかが知れている」ではなく、欧州では爆発的に普及し、今や二割近くに達して電力供給の主役を担う基幹電源に近づきつつあるのが現実だ。

 環境省によると、日本も風力や太陽光を効率よく電気に変換する技術革新などによって、発電量の八割を自然エネルギーで賄える潜在力を秘めているという。

 日本の国土の七割を占める森林資源の活用で、発電量の一割を担う北欧並みのバイオマス発電が可能になるとの民間の指摘もある。

 経済界も反対論ばかりではない。商社も農業用水を活用する小水力発電を手掛け、エネルギー政策の転換を商機ととらえて果敢に投資する企業が増えている。

 東京電力福島第一原発の事故では十五万人を超える人々が故郷を追われ原発と距離を置き始めた。経団連は有力企業の集団であり東電もメンバーだ。

 利益追求ばかりに走らず、国民の賛同を得られるポスト福島のエネルギー政策を提示する謙虚さを示すべきではないか。固定価格買い取りの負担が重ければ、低所得者層とともに緩和策を政府に求め、自然エネルギーの導入量を着実に増やすことも一考だろう。

 政府、国民、経済界が足並みをそろえないと、エネルギー政策の転換は漂流が続く。

 

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