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牛肉の安全 畜産農家の救済策が必要だ(7月29日付・読売社説)

 福島県産の肉用牛から国の基準を超える放射性セシウムが検出された問題が、全国に波及し、混乱が広がってきた。

 福島県に続き、政府の指示を受けて宮城県も28日、牛肉の出荷を停止した。風評被害や販売不振でブランド牛の産地は苦境に立たされている。

 政府は、畜産農家を守る汚染牛対策に全力をあげ、牛肉の安全性に対する消費者の不信感を払拭すべきである。

 牛肉汚染の原因は、福島第一原子力発電所の事故で、牛のえさとなる稲わらが高濃度の放射性セシウムに汚染されていたことだ。

 稲わらを食べた牛が全国で2965頭出荷され、このうち31頭が汚染していた。しかし、各県などが検査した牛は全体の1割程度で、実際にどれぐらいの汚染牛肉が流通しているかは不明だ。

 こうした実態が消費者の不安を高めている。これ以上、汚染牛肉が出回らないよう、出荷前の検査を強化することが重要だ。

 栃木、茨城県など多くの自治体や農協が、すべての枝肉の安全性をチェックする独自の検査に踏み切るのは、妥当な措置だろう。

 だが、放射性物質を検査する機器は高額で数も少ない。政府は機器の調達や、検査費用を支援しなければならない。

 被害が拡大した一因は、稲わらの危険性を農家に周知徹底しなかった農林水産省の認識の甘さと、お粗末な対応にもあった。

 農水省は3月の通達で屋内に保管したえさを使うよう促したが、稲わらには言及しなかった。

 原発から150キロも離れた岩手県や栃木県でも、稲わらの汚染が見つかった。農水省は、汚染の範囲や量、畜産農家の調達ルートなどの実態把握を急ぎ、稲わら対策を徹底させるべきだ。

 一方、すでに出荷済みの汚染牛肉は流通させてはならない。政府が牛肉の買い上げ対策を打ち出したことは評価できる。

 基準値を超える汚染牛肉は、業界団体が業者から買い上げる。基準値を下回れば、業者が保管し、売れなければ処分する。費用は東京電力に請求する仕組みだ。

 汚染牛問題で打撃を受けている畜産農家への経営支援策も必要だ。具体策を急いでほしい。

 政府は、汚染牛肉を1キロ食べた場合でも、日米間を航空機で移動した際に受ける放射線量を下回るとしている。だが、どれぐらいの量を何回食べても健康に害はないといった、消費者により分かりやすい説明が求められよう。

2011年7月29日01時12分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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