HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Thu, 28 Jul 2011 23:09:30 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:国連軍縮会議 若者の疑問に答えたか:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

国連軍縮会議 若者の疑問に答えたか

 長野県松本市で開催中の「国連軍縮会議」で原子力の平和利用が議題になった。核兵器削減や不拡散がテーマになる軍縮会議ではあまり例がない。背景には原発の安全性をめぐる国民の不安がある。

 会議は被爆国・日本を会場として毎年開かれ、今年で二十三回目。軍備管理や軍縮を担当する国際機関職員、各国の外交官や研究者、非政府組織(NGO)代表らが集まり意見交換する。

 例年、傍聴者には若い世代の姿が見られるが、今回は会議のために来日した国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長が地元の中学、高校生百二十人との対話集会に臨んだ。

 福島第一原発事故を受けて原発を不安視する生徒の質問に、天野氏は「原子力発電をするかどうかは各国が決めることで、IAEAは原発の安定維持と原発を持つ国の安全を手助けする」と答えた。

 「核兵器をなくすために、私たち高校生に何ができるか」という質問もあった。天野氏は被爆国・日本の訴えがないと核廃絶は難しいとの見方を示し、「だが一部の国々は核兵器が必要と考えている。反対を叫ぶだけではなく、世界情勢などを勉強し、現実的な道筋を付けながら主張していくことが大切だ」と説明した。

 天野氏はIAEAの役割を易しい表現で丁寧に説明したが、なぜ核兵器が大量に存在するのか、原発が本当に安全なのか、若い世代は十分に理解しただろうか。

 最終日には会議に参加した専門家と高校生による「平和・軍縮トーク」が予定されている。

 核軍縮や不拡散の話は難解な専門用語が多いうえ、国際政治の知識がないと理解できない。しかし核廃絶は各国の市民レベルの根強い支援がないと前進しない。

 昨年までの会議では有識者同士で通じ合えば済んだが、いま日本は核兵器廃絶を目指しながら、同時に原発の将来像も考えるという難題に直面している。

 日本で今後開催される軍縮会議では、専門家たちは市民、とりわけ若者の疑問にわかりやすい表現で答え、「市民は核エネルギーとどう向き合うか」を説明する努力が必要だ。

 今回の会議では、かつて医師としてベラルーシで治療活動をした地元・松本の菅谷昭市長も発言し、チェルノブイリ原発事故による放射能汚染と子どもの甲状腺がん発生など、自らの体験を説明した。地元の若者には深い印象を残したことだろう。

 

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